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カナリーキャピタル、ステーキング機能付きトロンETFを申請

19.04.2025 4:23 1 分で読了 Mika Kuramoto
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カナリーキャピタル、ステーキング機能付きトロンETFを申請

米国の資産運用会社カナリーキャピタル(Canary Capital)は18日、トロン(TRX)の現物価格に連動する、ステーキング機能を組み込んだ上場投資信託(ETF)の設立を米国証券取引委員会(SEC)に申請した

「Canary Staked TRX ETF」と名付けられたこのETFは、実際にトロン(TRX)を保有し、その一部をステーキングすることで投資家に利回りを提供することを目指す。

ステーキングの運用は第三者のサービスプロバイダーが担当し、資産のカストディアン(保管機関)にはデジタル資産のセキュリティ企業BitGo Trust Companyが指定されている。

価格データにはCoinDesk Indicesを利用する計画だ。なお、ETFのティッカーシンボルや管理手数料については、現時点では明らかにされていない。

今回の申請は、米国において初めてとなるトロン連動型のETF申請である。

カナリーキャピタルはこれまでにも、スイ(SUI)、ライトコイン(LTC)、ヘデラ・ハッシュグラフ(HBAR)といった他のアルトコインに関連するETFの申請を行っており、今回の動きもその一環とみられる。

規制当局の動向と課題

SECは歴史的に、ステーキング機能を備えた暗号資産(仮想通貨)ETFに対して慎重な、あるいは否定的な姿勢を示してきた。

ゲーリー・ゲンスラー前SEC委員長の在任期間中、ステーキングはいくつかの理由から問題視されていた。

主な懸念点としては、ステーキングされた資産の償還(現金化)にかかる時間と、通常の金融商品の決済サイクルとの間にずれが生じる可能性が挙げられる。

また、ステーキング報酬に関する複雑な税務問題や、ステーキングサービス自体が未登録の証券提供にあたるのではないかという疑念も存在した。

しかし、より仮想通貨に好意的とされるポール・アトキンス現委員長の下で、SECの姿勢に変化が見られる可能性も指摘されている。

ステーキングを含むETFへの受容性が高まるかもしれないが、現時点で承認された事例はまだない。

最近では、資産運用大手グレースケール社のイーサリアム信託ETFにおけるステーキング申請に関するSECの決定が延期されており、規制に関する不確実性は依然として続いている。

シンシア・ルミス上院議員を含む業界関係者は、SECに対しステーキングに関する明確なルールの策定を求めている状況だ。

彼らは、現在の不明瞭な方針が米国の資産運用会社を不利な立場に置いており、カナダや欧州、英国など、ステーキング機能付きETFがすでに登場している国際市場に後れを取っていると主張している。

市場の需要とトロンの可能性

トロンは、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)を採用する主要なブロックチェーンの一つであり、その時価総額は220億ドル(約3兆1460億円)を超える規模を持つ。

現在のステーキング利回りは年率約4.5%とされている。

トロンネットワーク上では分散型金融(DeFi)のエコシステムも成長しており、TVL(預かり資産総額)は約50億ドル(約7150億円)に達し、1日あたりのアクティブアドレス数は200万を超える。

こうした背景は、利回りを生み出す仮想通貨への投資機会を求める機関投資家にとって魅力的かもしれない。

カナリーキャピタルによる今回の申請は、このような商品への需要の高まりと、過去に米国市場での活動が制限されていたトロンネットワークの段階的な再進出の動きに合致するものだ。

Canary Staked TRX ETFの特徴と展望

このETFは、トロンの価格上昇によるキャピタルゲイン(値上がり益)だけでなく、ステーキング報酬を通じた受動的な収入も提供することを目指しており、従来の現物ETFとは一線を画す特徴を持つ。

カナリーキャピタルは、ステーキングの技術的・運用的な側面を第三者の専門プロバイダーに委託する計画だ。

このアプローチは、カストディ業務やサービス提供に関する規制上の懸念をいくらか緩和する可能性があると考えられている。

今回の申請は、米国におけるアルトコインETF申請の波の中で行われた。

業界参加者は、ビットコインやイーサリアム以外の仮想通貨へのアクセスを拡大しようと試みている。

しかし、一部のアナリストは、投資家がより確立された仮想通貨を好む傾向があるため、アルトコインETFの長期的な魅力や資金流入については懐疑的な見方を示している。

Canary Staked TRX ETFの申請は、仮想通貨のステーキング統合を巡る規制当局との継続的な対話の一部と位置付けられる。

同様の提案に関するSECの主要な判断は、2025年半ばまでには下されると予想されている。

結論として、カナリーキャピタルによるステーキング機能付きトロンETFの申請は、米国の規制下にある仮想通貨ETF市場において、斬新で先駆的な一歩となる可能性がある。

これは、ステーキング可能な資産に対する機関投資家の関心の高まりと、こうした革新が乗り越えなければならない複雑な規制環境の両方を反映している。

SECの最終的な決定は、規制市場における利回り志向の仮想通貨投資商品の将来を占う試金石として、注意深く見守られることになるだろう。

今回の申請が承認されれば、機関投資家だけでなく個人投資家にとっても、新たな仮想通貨投資の選択肢が増えることになるだろう。

このような新しい金融商品の登場は、2025年の仮想通貨バブルへの期待感を高める一方で、規制当局の慎重な判断が求められる。

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