英国政府が、財政赤字を補うため押収した50億ポンド超のビットコイン売却を検。政治的・法的な課題も残る。
英国政府は20日、財政赤字の補填を目的として、犯罪組織から押収した50億ポンド以上に相当するビットコインの売却を検討していることが分かった。
レイチェル・リーブス財務相が主導するこの計画は、国の財政健全化に向けた新たな一手となる可能性がある。
売却が検討されている資産には、2018年に中国のポンジ・スキームに関連して押収された6万1000ビットコイン(BTC)が含まれる。
当初の評価額は約3億ポンドだったが、その後のビットコイン価格が1700%高騰したことで、現在の価値は50億ポンドを超える。
これらの暗号資産(仮想通貨)は英国の法執行機関が保管しており、内務省は売却を円滑に進めるため、一元的な仮想通貨保管・実現フレームワークの構築を進めている。
リーブス財務相は、経済成長の低迷や借入コストの上昇などを背景とした、200億ポンド規模の財源不足に直面している。
押収したビットコインの売却は、増税に踏み切ることなく、即時の流動性を確保する手段となり得る。
また、2025年7月時点でビットコイン価格が過去最高値の12万3091ドルを記録していることも、売却を後押しする要因だ。
市場が活況を呈している今が、資産を現金化する絶好の機会と見なされている。
この動きは、各国政府がデジタル資産を財政ツールとして活用する傾向が強まっていることを示す。
内務省が進める売却フレームワークの整備は、今後も同様の事例が増えることを見越した措置と言えるだろう。
また、売却によって得られた利益に対する仮想通貨税金の取り扱いも、今後の法整備における重要な論点となる。
この計画に対しては、国内で意見が分かれている。
ノーマン・ラモント元財務相は財政救済のために即時売却を支持する一方、英国改革党のナイジェル・ファラージ氏は、国家準備資産としてビットコインを保有し続けるべきだと主張する。
これはドナルド・トランプ政権下で見られた米国の政策と類似した考え方である。さらに、法的な課題も存在する。
ビットコインの元となった詐欺事件の中国人被害者らが、資産の返還を求めており、売却計画の障害となる可能性がある。政府はこうした複雑な問題を解決する必要に迫られる。
他国の事例として、ドイツは2024年に約5万ビットコインを約29億ドルで売却したが、その価値は現在66億ドル以上に膨らんでおり、約30億ドルの機会損失となっている。
アナリストからは、強気相場での売却は将来の利益を逃すことになりかねないとの指摘もあり、政府は短期的な資金確保と長期的な価値保持のバランスを慎重に判断する必要がある。
こうした政府の動向は、仮想通貨投資を行う個人投資家にとっても重要な判断材料となるだろう。
IMFは、エルサルバドルが2月以降ビットコインを新規購入していないと報告。準備高の増加は、既存ウォレットの統合によるものだった。
Cooper Researchの分析によると、ビットコインは機関投資家の需要とETFへの資金流入を背景に10月までに15万ドルに達する見通しだ。
アーク・インベストは15日、ビットコインとコインベース株の最高値更新を受け、関連資産の一部を売却し利益を確定した。
マイケル・セイラー氏が率いるストラテジー社は14日、約4億7250万ドルで4225BTCを追加購入。ビットコイン保有量は60万1550枚を突破。