テザー社は米仮想通貨規制法への対応として、ヘッジファンド向けのステーブルコイン開発を発表。USDTは新興国市場での金融包摂に注力。
ステーブルコイン大手のテザーは25日、米国の新たなステーブルコイン規制法に対応するため、海外市場重視の戦略を維持しながら、ヘッジファンド向けの準拠ステーブルコインを別途開発する計画を発表した。
テザーのパオロ・アルドイーノ最高経営責任者(CEO)は、米国ステーブルコイン国家革新確立法(GENIUS法)が外国発行体に対する規制内容を注視しながら、優先的に海外市場での事業展開を継続すると表明。
同氏は既存のテザーコイン(USDT)が世界で銀行口座を持たない30億人にとって重要な役割を果たしていると強調している。
テザーは規制環境の変化に対応するため、二つの異なる戦略を採用する方針だ。
既存のUSDTは新興国市場での国際送金と金融包摂に特化し続ける一方、米国市場ではヘッジファンド向けに特別に設計された準拠ステーブルコインを2025年後半に導入予定としている。
アルドイーノCEOは、USDTの中核的な強みが国際送金と金融包摂にあると説明し、従来の銀行サービスを利用する顧客層を対象とした銀行発行ステーブルコインとは競合しないと述べた。
この市場区分により、テザーは規制要件を満たしながら既存の強みを維持する戦略を取っている。
テザーは透明性向上の取り組みとして、大手会計事務所との完全監査実施に向けて積極的に交渉を進めている。
現在は規制環境の不透明さが原因で遅延が生じているものの、BDOによる証明書を暫定的な透明性確保策として活用している。
アルドイーノCEOはまた、テザーが保有する米国債がドイツ、スペイン、オーストラリアの国家準備金を上回る規模に達していると明かし、ドル流動性の重要な管理者としての地位を強調した。
現在USDTの時価総額は1520億ドル(約21兆7360億円)に達し、分散型金融における主要ステーブルコインとしての地位を確固たるものにしている。
ステーブルコイン市場の競争が激化する中、テザーは暗号資産(仮想通貨)業界における独自のポジションを維持しながら、規制対応と市場拡大を両立させる戦略を推進している。
この動きはアルトコイン市場全体にとっても重要な示唆を与えるものと見られている。
インドの仮想通貨取引所CoinDCXがハッキング被害に遭い、約4420万ドルが流出。公表遅れやホットウォレットの脆弱性が問題。
トランプ米大統領は18日、米国初の包括的なステーブルコイン規制関連のGENIUS法に署名。消費者保護とイノベーションを目的とする。
米下院は17日、トークン分類、DeFi、CBDC発行禁止に関する3つの画期的な仮想通貨法案を可決した。米国初の包括的な規制枠組みが確立される見込みだ。
米下院は16日、GENIUS法と仮想通貨市場明確化法案の審議を進める手続きを可決。大統領の介入が影響し、週内の本採決へ道が開かれた。