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テザーが分散型AI「Tether AI」発表、USDTやBTC決済も統合へ

06.05.2025 4:00 1 分で読了 Hideaki Wakabayashi
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テザーが分散型AI「Tether AI」発表、USDTやBTC決済も統合へ

ステーブルコイン大手Tether社は5日、新たな分散型AIプラットフォーム「Tether AI」の立ち上げを発表した。

この取り組みは、独自のAIランタイム「Personal Infinite Intelligence」を通じて、暗号資産決済機能を備えたオープンソースのAIエコシステムを構築するもの。

オープンソースAIランタイムの特徴

Tether AIの中核となる「Personal Infinite Intelligence」は完全にオープンソースのAIランタイムとして設計されている。このシステムはAPIキーを必要とせず、中央集権的な障害点を持たない点が最大の特徴だ。

あらゆるハードウェアやデバイス上で動作可能で、ユーザーのプライバシーを重視した設計となっている。

TetherのCEOパオロ・アルドイーノ氏はSNS上で「Personal Infinite Intelligence」について、「あらゆるハードウェアやデバイス上で適応・進化可能な完全オープンソースのAIランタイム」と説明。SF作家アイザック・アシモフのビジョンに着想を得たこのプラットフォームは、数十億のAIエージェントが連携するP2Pネットワークの構築を目指している。

注目すべきは、このAIプラットフォームにWallet Development Kit(WDK)を統合する計画で、これによりUSDTおよびビットコイン(BTC)による直接決済が可能になる見込みだ。

市場背景とTetherの戦略

Tetherが発行するステーブルコインUSDTの流通量は約1,500億ドル(約21兆6,000億円)に迫っており、2025年だけでも約10%の成長を見せている。同社の資産の大部分は米国債で保有されており、直接的・間接的な米国債投資は約1,200億ドルに達している。

この新たなAI分野への進出は、同社が2024年4月に発表した事業再編の一環だ。当時Tetherは、ステーブルコイン事業を超えた新たな部門として「Tether Data」を立ち上げ、AIとP2P技術開発に特化した取り組みを開始していた。

AI翻訳、AIボイスアシスタント、AIビットコインウォレットアシスタントなど、複数のAIアプリケーション開発も進めている。

開発展望と市場への影響

Tether AIは、クラウドベースではなくデバイス上で直接動作するプライバシー重視のアプローチを採用している。これにより、ユーザーのデータはデバイス内に留まり、外部に流出するリスクを低減できるという利点がある。

アルドイーノCEOは、このプロジェクトを「AIを中央集権的な管理から解放し、ユーザーに自律性を提供する」ものと位置づけている。

例えば、AIエージェント同士が暗号資産(仮想通貨)を利用してマイクロトランザクションを実行したり、自律的なトレーディングボットが他のボットに情報を販売するなど、多様なユースケースが想定されている。

現時点で正式なリリース日は発表されていないが、Tetherの仮想通貨とAI技術の融合は、両分野の新たな可能性を切り開くものとして注目されている。

2021年に仮想通貨投資を始める。以降、同分野での専門的な知識を深めながら自身のブログ・ライターとしても活動。仮想通貨に関する深い理解を活かして複数のメディアで多くの記事を執筆。初心者に寄り添った簡潔な解説を得意とする。

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