ステーブルコイン大手Tether社は5日、新たな分散型AIプラットフォーム「Tether AI」の立ち上げを発表した。
この取り組みは、独自のAIランタイム「Personal Infinite Intelligence」を通じて、暗号資産決済機能を備えたオープンソースのAIエコシステムを構築するもの。
Tether AIの中核となる「Personal Infinite Intelligence」は完全にオープンソースのAIランタイムとして設計されている。このシステムはAPIキーを必要とせず、中央集権的な障害点を持たない点が最大の特徴だ。
あらゆるハードウェアやデバイス上で動作可能で、ユーザーのプライバシーを重視した設計となっている。
TetherのCEOパオロ・アルドイーノ氏はSNS上で「Personal Infinite Intelligence」について、「あらゆるハードウェアやデバイス上で適応・進化可能な完全オープンソースのAIランタイム」と説明。SF作家アイザック・アシモフのビジョンに着想を得たこのプラットフォームは、数十億のAIエージェントが連携するP2Pネットワークの構築を目指している。
注目すべきは、このAIプラットフォームにWallet Development Kit(WDK)を統合する計画で、これによりUSDTおよびビットコイン(BTC)による直接決済が可能になる見込みだ。
Tetherが発行するステーブルコインUSDTの流通量は約1,500億ドル(約21兆6,000億円)に迫っており、2025年だけでも約10%の成長を見せている。同社の資産の大部分は米国債で保有されており、直接的・間接的な米国債投資は約1,200億ドルに達している。
この新たなAI分野への進出は、同社が2024年4月に発表した事業再編の一環だ。当時Tetherは、ステーブルコイン事業を超えた新たな部門として「Tether Data」を立ち上げ、AIとP2P技術開発に特化した取り組みを開始していた。
AI翻訳、AIボイスアシスタント、AIビットコインウォレットアシスタントなど、複数のAIアプリケーション開発も進めている。
Tether AIは、クラウドベースではなくデバイス上で直接動作するプライバシー重視のアプローチを採用している。これにより、ユーザーのデータはデバイス内に留まり、外部に流出するリスクを低減できるという利点がある。
アルドイーノCEOは、このプロジェクトを「AIを中央集権的な管理から解放し、ユーザーに自律性を提供する」ものと位置づけている。
例えば、AIエージェント同士が暗号資産(仮想通貨)を利用してマイクロトランザクションを実行したり、自律的なトレーディングボットが他のボットに情報を販売するなど、多様なユースケースが想定されている。
現時点で正式なリリース日は発表されていないが、Tetherの仮想通貨とAI技術の融合は、両分野の新たな可能性を切り開くものとして注目されている。
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