金融庁は6月30日、ステーブルコインの健全な発展に向けた分析報告書を公表。リスクを評価し、今後の規制議論の基礎とする。
日本の金融庁は6月30日、デロイトトーマツコンサルティング合同会社に委託したステーブルコインの健全な発展に向けた分析調査研究報告書を公表した。
ステーブルコインの不正利用実態とリスク管理の課題を分析し、今後の健全な発展に向けた知見を提供する内容となっている。
報告書は金融庁の公式見解ではないとしながらも、現在の時価総額が約30兆円超の規模に達しているステーブルコイン市場の不正利用懸念に焦点を当てた。
報告書によると、制裁対象組織や詐欺行為に関連する取引額では、ステーブルコインの割合が高い傾向にある。
しかし、不正利用で最も幅広く使われているのは依然としてビットコイン(BTC)で、ステーブルコインの利用拡大により不正が拡大したとは必ずしも言えないと結論付けた。
近年、制裁主体に関する大規模な取引の分析が進んだ結果、この分類に対するステーブルコインの利用割合が比較的高かったことが要因とした。
不正利用については、暗号資産(仮想通貨)との瞬時交換性を捉えた全体像として把握する必要があると指摘している。
対策としては、トークン発行者によるブラックリスト機能の活用が考えられる。
発行者が単独でできることには限界があり、ブロックチェーン分析事業者や当局との協力が必要だとした。
報告書は今後対応すべき課題として、ガバナンス構造の明確化やリスク管理の強化。
規制の枠組み整備、利用者保護の強化、技術的リスクへの対応、クロスボーダー取引の課題の6点を挙げた。
ステーブルコインの不正利用に使用される技術は、盗難経路を隠蔽するミキシングや複数チェーンをまたぐチェーンホッピング等、その手口は進化している。
これら技術に対しての対策事例として、ステーブルコイン発行者がレイヤー2ブロックチェーンも含めて自社のブラックリストの効果を及ぼす仕組みや、アドレス分析事業者による機械学習等を活用したパターン分析。
ウォレット事業者によるアラート機能による予防等、新たな技術に応じた対策を施すトレンドがあることを確認した。
金融庁は2月に新しい仮想通貨やステーブルコインに関する包括的制度改革案を提示済み。
ステーブルコインの裏付け資金を現行の要求払預貯金に加え、短期国債や一定の定期預金でも運用できるよう検討を進めている。
リップルは、ステーブルコインRLUSDの連邦監督を目指し、米国通貨監督庁に国法銀行免許を申請。伝統金融との融合を加速させる。
米SECは、グレースケールの大型株ファンドETFの上場承認を一時停止し、再審査すると発表した。市場の不正操作への懸念が背景にある。
米SECが仮想通貨ETFの承認を迅速化する新制度を検討。19b-4プロセスを省略し、統一基準を満たせば75日で上場可能になる見込み。
リップル社とSECによる罰金減額と差し止め命令解除の共同要請が、裁判所により再び却下された。「公益」が理由とされている。