イーサリアム財団のダンクラッド・ファイスト氏は27日、イーサリアム(ETH)のガス制限を段階的に引き上げる新たな提案「EIP-9698」を発表した。
この提案は、イーサリアムのガス制限を4年間で段階的かつ確定的なスケジュールに従って100倍に引き上げることを目指すもので、現在の3,600万から最終的に36億まで増加させる計画だ。
この提案が実装されれば、イーサリアムのベースレイヤー(基礎部分)で処理できるトランザクション数は、現在の毎秒約20件から最大で毎秒約2,000件まで向上する可能性がある。
計画では、イーサリアムのビーコンチェーンのエポック(時間の区切り)に連動して、約2年ごと(164,250エポックごと)に10倍ずつ増加させ、2029年までに合計で100倍の増加を達成する見込みだ。
このスケジュールは2025年6月1日頃(エポック 369,017)に開始される予定であり、ノード運用者や開発者は予測可能な形で調整を進めることができる。
これは、従来調整が難しかったバリデーター(取引検証者)による非協調的な投票でガス制限が変更されてきた状況からの転換を意味する。
この提案の背景には、イーサリアムのベースレイヤーの容量を増やすことで、ロールアップのようなレイヤー2ソリューションへの依存度を減らし、流動性の分断やユーザー体験の複雑化といった課題に対応する狙いがある。
レイヤー2ネットワークはこれまで、イーサリアムの混雑緩和に貢献してきたが、相互運用性の問題やエコシステムの断片化も指摘されている。
EIP-9698は、イーサリアム本体(コアプロトコル)の効率性を再び重視する動きと言える。
また、この提案は、2025年5月の暗号資産(仮想通貨)ウォレット体験の向上などが予定される「Pectra」アップグレードや、2025年後半に計画され、EIP-9678によるガス制限の4倍増も提案されている「Fusaka」ハードフォークといった、今後のイーサリアムの主要な更新とも連携している。
ファイスト氏は、ハードウェアの性能向上や、ステートエクスパイレーション(不要なデータの削除)、ステートレスクライアント(全データを保持しないクライアント)といったプロトコルの最適化が進むことで、ブロック伝播の遅延やノードへの負荷増大といったリスクは軽減できると主張している。
イーサリアムのガス制限は、2021年8月のロンドン・ハードフォークで1,500万から3,000万に引き上げられ、2025年2月にはバリデーターの合意により3,600万まで増加した経緯がある。
今回のEIP-9698に対しては、ノード運用コストの増加やブロック伝播の遅延といったリスクを懸念する声もある。
しかし、ファイスト氏は、段階的な導入スケジュールがこれらの問題への対処を可能にすると強調する。
確定的なスケジュールは、クライアントソフトウェアの開発を効率化する利点もある。運用者が手動で設定を変更しない限り、クライアントは自動的にガスリミットを調整するようになる。
コミュニティ内では、開発者のジョン・シャルボノー氏などがこの提案を支持しており、イーサリアムのベースレイヤーをスケールさせるための重要な道筋だと評価している。
2020年より暗号資産(仮想通貨)投資を開始。2021年より暗号資産の情報をブログ、メルマガなどで発信開始。2025年よりCryptoDnesに参画。
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