ゴールドマン・サックスは3日、米国債とマネー・マーケット・ファンド(MMF)をトークン化し、24時間年中無休のオンチェーン取引を可能にする計画を発表した。
この計画は、ドバイで開催された「TOKEN2049」カンファレンスで、同社のデジタル資産部門責任者マシュー・マクダーモット氏によって明らかにされたもの。伝統的な金融商品をブロックチェーン基盤に統合することを目指している。
ゴールドマン・サックスは、増加する顧客からのオンチェーン資産へのエクスポージャー要求に応えるため、この取り組みを進めている。同社はすでに暗号資産(仮想通貨)おすすめデリバティブデスクを運営しており、ブロックチェーン技術を活用することで取引の効率化も期待される。
具体的には、米国債やMMFといった信頼性の高い資産を、よりアクセスしやすく柔軟な形で提供することを目指している。トークン化されたMMF市場は資産総額が10億ドル(約1,450億円)を超え、マッキンゼー社の予測によれば2030年までには2兆ドル(約290兆円)に達する可能性もある。
また、トークン化された米国債市場は、ブラックロック社のBUIDLファンドなどに牽引され、すでに50億ドル(約7,250億円)を超える規模に成長している。
ゴールドマン・サックスは2025年に、3つの主要なトークン化プロジェクトを開始する予定だ。これには、米国初となるファンドのトークン化や、ユーロ建てのデジタル債発行が含まれる。
この動きの背景には、機関投資家からの米国債やMMFといった伝統資産へのオンチェーンでの投資需要の高まりがある。これは、広範な仮想通貨投資への関心の表れとも言えるだろう。
最近の米国の規制緩和も追い風となっている。2025年3月の通貨監督庁(OCC)による解釈書簡1183号では、銀行が事前の承認なしに仮想通貨のカストディ業務や分散型台帳技術(DLT)を用いた決済を行うことが許可された。
さらに、連邦規制当局が2023年に出した新しい仮想通貨関連活動を抑制するガイダンスを撤回したことも、米国の規制環境を国際基準に近づける一因となった。
ゴールドマン・サックスは、自社のデジタル資産プラットフォーム(GS DAP)を独立した事業体としてスピンオフすることも検討している。これにより、流動性を向上させ、複数の金融機関に対してサービスを提供することが可能になると考えられる。
トークン化された担保市場では、ブラックロックやフランクリン・テンプルトンといった大手資産運用会社や、Web3企業がすでに流動性を提供しており、競争環境は形成されつつある。
ただし課題も残っている。ゴールドマン・サックスはコンプライアンス要件を満たすため、許可型ブロックチェーンを引き続き優先している。また、銀行カストディアンはSECのガイダンスに基づき、オンチェーン保有に関連する規制資本要件にも直面している。トークン化された債券の流動性はまだ限られており、セカンダリー市場の成熟には時間がかかるとみられる。
ゴールドマン・サックスのユーロ建てデジタル債および米国ファンドのトークン化プロジェクトは、24時間取引サービスの開始とほぼ同時期の2025年に予定されている。
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