EU仮想通貨規制MiCAの下、ジェミニとコインベースがライセンス申請。マルタの迅速な承認が規制の不均衡を生むとの懸念も浮上している。
大手暗号資産(仮想通貨)取引所のジェミニとコインベースが14日、EUの新たな仮想通貨規制MiCAに基づき、マルタとルクセンブルクでライセンス取得手続きを進めていることが分かった。
両社は単一ライセンスでEU全域の事業展開を可能にするこの制度を活用し、域内のプレゼンス拡大を狙う。これにより、各国で断片的だった規制が、消費者保護と市場の健全性を重視した統一的な制度に置き換わる。
ジェミニはマルタで、コインベースはルクセンブルクでMiCAライセンスの承認を待っている状況だ。
特にマルタは、同規制施行直後にOKXやCrypto.comといった主要仮想通貨取引所にライセンスを付与しており、その審査プロセスの迅速さが注目されている。
これにより、多くの仮想通貨取引所がEU市場への足がかりとしてマルタを選択する可F能性がある。
しかし、この迅速な承認は、他の規制当局から審査の深さに対する疑問を投げかけられている。フランス当局は、規制基準の底辺への競争が起こりかねないと明確に警告しており、MiCAが目指す標準化された監督体制が損なわれる可能性を指摘している。
対照的に、ルクセンブルクはより厳格な審査プロセスで知られ、コインベースはすでに同国で約200人の従業員を擁する拠点を設立し、承認を得ている。この選択は、企業の戦略が許認可の速さだけでなく、規制上の信頼性も重視していることを示している。
マルタの迅速な承認プロセスに対し、欧州証券市場監督局は規制適用のばらつきへの懸念から、同国のライセンス付与慣行を積極的に監視している。同局は調査結果に関する報告書を公表する予定だ。
企業のロビー活動や、仮想通貨イノベーションに対する各国の意欲の違いが、管轄区域の選択に影響を与えている。マルタの速さとルクセンブルクの信頼性を求める動きは、効率性と監督強化の間の緊張関係を浮き彫りにした。
MiCAのパスポート制度は、認可された企業が全加盟国で活動できる仕組みだが、承認速度の違いがEU域内に規制上の抜け穴を生み出すリスクについて、EU内部での議論が激化している。
同規制は、リスクに基づく仮想通貨の分類や厳格な情報開示義務、顧客資産の分離などを通じて、デジタル資産市場の安定化を目指している。主要な仮想通貨に対する包括的な監督体制を導入し、域内市場の安定と信頼性向上を図る。
この動きは、市場の主軸であるビットコイン(BTC)の信頼性を高める。またイーサリアム(ETH)などの主要なデジタル資産も包括的な監督下に置かれることになる。
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