イーサリアムのコア開発者らは28日、2025年後半に予定されている次期大型アップグレード「Fusaka」からEVM Object Format(EOF)を除外することを決定した。
ティム・ベイコ氏はEOF除外の主な理由として、Fusakaのスケジュールリスクを挙げており、イーサリアムの最重要課題がPeerDASの早期リリースであることを強調した。EOFをめぐる仕様議論の継続がネットワーク立ち上げの遅延を招く可能性を懸念したことが背景にある。
Fusakaはコンセンサス層「Fulu」と実行層「Osaka」のアップグレードを融合したもので、5月7日に実装予定の「Pectra」に続くイーサリアム(ETH)の大型アップデートとなる。ヴィタリック・ブテリン共同創設者はこれを2025年中に実施する必要性を表明している。
Fusakaの主な目的はスケーラビリティや効率性、分散化の強化にあり、Pectraで実装できなかったイーサリアム改善提案(EIP)も組み込まれる予定だった。
EOFはその中核技術の一つとして検討されていたが、今回の決定により実装が見送られることになった。
EOFとは「イーサリアム・オブジェクト・フォーマット」の略で、イーサリアムのスマートコントラクトのコード構造を標準化・最適化するための一連の改善提案だ。
スマートコントラクト実行の中核を担うEVM(イーサリアム仮想マシン)に複数の変更を加え、アルトコインの将来性を高めることを目的としていた。
一方、開発リソースが集中されることになったPeerDASは「分散型データ共有システム」であり、イーサリアムのスケーラビリティを向上させるためのデータ可用性レイヤー強化策だ。これにより、ブロブ(一時的なデータパケット)の処理数を増やし、ネットワーク全体の処理能力を大幅に向上させることが期待されている。
ベイコ氏によれば、EOFがFusakaから除外されたものの、完全に廃案になったわけではない。今後さらなるテストとコミュニティ合意を経て、Fusakaの次に計画されている「Glamsterdam」アップグレードで改めて導入検討される可能性がある。
イーサリアム財団は近年組織改革に取り組んでおり、新たな共同エグゼクティブ・ディレクター体制のもと、透明性や実行力、エコシステム全体の成功に重点を置いた開発を進めている。こうした体制変更も、新しい暗号資産(仮想通貨)の技術的見直しに影響を与えた可能性がある。
なお、今回のEOF除外によるFusakaアップグレード自体のスケジュール変更は発表されておらず、依然として2025年後半の実施が見込まれている。
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