モネロ、7週連続上昇｜規制環境変化と取引所再上場の期待再燃

プライバシー重視の暗号資産（仮想通貨）であるモネロ（XMR）は26日、過去7週間にわたり連続して価格が上昇し、3年ぶりの高値となる416ドル台まで到達した。

現在、モネロは過去最高値である515ドルに迫る勢いを見せており、市場の注目を集めている。

規制環境の変化と取引所再上場の期待

モネロの価格は、2022年5月から2024年12月まで、108.4ドルから186ドルの範囲内で推移し、比較的狭いレンジでの取引が続いていた。

この期間中、バイナンスやコインベースなど主要な仮想通貨取引所から上場廃止となる事態に見舞われた。

これは、米当局がトルネードキャッシュ（TORN）などのプライバシー重視の仮想通貨に対する規制強化に乗り出し、その創設者を逮捕し、制裁を課したことが背景にある。

しかし、2025年初頭、米国の裁判所が当局のTORNに対する制裁措置に誤りがあったとの判決を下し、モネロに対する制裁も解除された。

この規制環境の好転は、市場参加者の信頼感を高め、市場センチメントにポジティブな影響を与えた。

さらに、一部の主要取引所がモネロの再上場を検討しているとの観測が広がり、価格上昇の追い風となっている。

同様のプライバシー重視アルトコインであるZcash（ZEC）も最近数週間で価格が急騰しており、プライバシーコイン全体への関心の高まりがうかがえる。

ハッカー活動による需給のひっ迫

モネロ価格の急騰は、2025年4月28日に報告された大規模なビットコイン（BTC）盗難事件とも密接に関連している。

ブロックチェーンアナリストのZachXBTによると、3520BTC（約3億3070万ドル）が盗まれ、複数の即時取引所を通じてモネロに交換された。

この大規模な買い注文は、モネロの流動性が比較的低い市場環境下で価格を50％押し上げ、一時339ドルの日中高値を記録。

同コインのリング署名やステルスアドレスといったプライバシー機能は、資金洗浄を目的とするハッカーにとって魅力的な選択肢であり、これが短期的な価格急騰の一因となった。

ただし、この急騰は一過性のものであり、ピーク時の300ドル超から一時263ドルまで下落する場面も見られた。

クラーケンなどの取引所におけるXMRの準備金が限定的であるため、こうした大規模な買い圧力は価格の急激な変動を誘発しやすい。

マイニング活動とプライバシー需要の再燃

モネロのマイニング活動も活発化しており、2025年5月18日にはハッシュレートが過去最高の5.64 GH/sを記録した。

その後4.51 GH/sまで低下し、マイニング活動の一時的な縮小が見られたが、プライバシー保護への関心の高まりを背景に、モネロの需要は堅調に推移している。

仮想通貨分析プラットフォームChainalysisの2025年レポートによると、ビットコインの追跡技術が進化する中、ダークネット市場や違法取引の運営者はモネロへとシフトする傾向が強まっている。

【5月26日最新】モネロ（XMR）価格のテクニカル分析

モネロ（XMR）の価格は、2025年5月26日時点で416ドルに達し、2021年5月以来の高値を記録している。

この急騰は、テクニカル指標における強気シグナルの発生と市場の買い圧力の高まりを背景に、力強い上昇トレンドを示している。

ここからは、週足および日足チャートの分析を通じて、XMRの今後の価格動向を予測する。

週足チャートの分析

出典：TradingView XMR/USD 週足 (2021年～現在まで)

2024年9月、XMRの週足チャートにおいて、20週移動平均線が100週移動平均線を上抜くゴールデンクロスが発生した。

このテクニカルイベントは、長期的な強気トレンドへの転換を示唆する強力なシグナルとして市場に認識された。

実際、ゴールデンクロス発生後、価格は138ドルの底値から416ドルへと3倍以上の上昇を見せ、過去最高値515ドルに迫る勢いを示している。

この急騰は、強力な買い圧力と市場参加者の強気なセンチメントを反映しており、中長期的な上昇トレンドの開始を裏付けている。

ただし、現在の価格は20週移動平均線（約250ドル）および100週移動平均線（約180ドル）から大きく乖離しており、相対力指数（RSI）も週足で80を超える過熱ゾーンに突入している。

この乖離と過熱感は、短期的な調整リスクを示唆する。

一方で、519ドルの過去最高値を突破する場合、市場のモメンタムが維持されれば、550ドルから600ドルへのさらなる上昇余地が想定される。

日足チャートの分析

出典：TradingView XMR/USD 日足 (2024年～現在まで)

日足チャートでは、2025年4月初旬に20日移動平均線が100日移動平均線を上抜くゴールデンクロスが発生し、下降トレンドの終焉を示唆した。

このシグナルは短期的な買い圧力の強まりを反映し、4月底値の186ドルから6週間で価格が2倍以上となる急上昇を牽引し強気トレンドが継続していることを示している。

しかし、RSIは日足で85に達し、過熱感が顕著であり、短期的には調整の可能性を高めている。

調整が発生した場合、20日移動平均線付近の350ドルが直近のサポートとして機能する可能性が高い。

一方で、強気モメンタムが維持される場合、450ドルから480ドルへの上昇が次のターゲットとして意識される。

モネロ（XMR）相場の要点

• 中長期的な強気トレンドの継続：週足でのゴールデンクロスと日足での強気シグナルは、XMRが中長期的な上昇トレンドにあることを示唆する。過去最高値515ドルへの到達は現実的なターゲットであり、突破すれば550ドルから600ドルへの上昇余地が広がる。
• 短期的な調整リスク：週足および日足での移動平均線からの乖離とRSIの過熱感は、短期的な調整の可能性を示唆する。調整が発生した場合、350ドルが主要なサポートレベルとして意識される。
• サポートとレジスタンスの明確化：350ドル（日足20日移動平均線）が鍵となる。レジスタンスは519ドルの過去最高値であり、突破には強い買い圧力の継続が必要である。
• 市場センチメントの影響：規制環境の改善やプライバシーコインへの需要増が強気トレンドを支える一方、過熱感による利確売りや規制リスクが調整の引き金となる可能性がある。

Mika Kuramoto

CryptoDnesで専属ライターとして暗号資産領域の記事を執筆中。2020年に仮想通貨投資を開始し、ビットコインやNFT、DeFiなど多様な分野での投資経験を積む。2025年1月にCryptoDnesのチームに加わる。