モネロ、24時間で10%急落｜個人投資家の過熱が調整を誘発か

プライバシー重視の暗号資産（仮想通貨）モネロ（XMR）の価格は28日、24時間比で10％下落し、一時的に強い調整局面を迎えている。

現在の価格は約343ドルで推移しており、市場の弱気なセンチメントが鮮明となっている。

この価格変動の背景には、オンチェーンデータが示す売りの優位性と、過熱した個人投資家の活動が影響している。

オンチェーンデータが示す売りの圧力

オンチェーン分析企業CryptoQuantのデータによると、モネロの現物市場におけるTaker CVD（Cumulative Volume Delta）は、5月初旬から売り優勢を示し、売却圧力が増加している。

この指標は、過去3カ月の市場での買い注文と売り注文の累積差を測定するもので、90日間のCVDがマイナスで減少傾向にある場合は売り主導の市場環境を示す。現在、モネロのCVDは明確なマイナストレンドを描いており、市場参加者の売却意欲の高まりを裏付けている。

さらに、CryptoQuantの「Futures Retail Activity Through Trading Frequency Surge」データは、個人投資家の取引頻度が急増し、市場が過熱状態にあることを示している。

この指標は、個人投資家の活動レベルを取引頻度に基づいて測定するもので、高い値はトレーダーが価格変動を追いかけて市場に殺到していることを示唆する。

こうした過熱は、しばしば局所的な価格の天井を形成する前兆であり、現在のデータは、個人投資家の過剰な参入が価格下落の一因となっている可能性を浮き彫りにしている。

市場の背景と今後の展望

モネロの価格動向は、広範な仮想通貨市場のセンチメントとも連動している。

5月の急騰は、市場全体の楽観的なムードとプライバシー重視のアルトコインへの需要増に支えられていたが、最近の売却圧力は利益確定の動きやマクロ経済の不確実性が影響している可能性がある。

特に、米国の金融政策や規制環境に関する不透明感が、市場全体のボラティリティを高めている。

結論として、モネロの現在の価格下落は、オンチェーンデータが示す売りの優勢、個人の仮想通貨投資家の過熱が複合的に作用した結果である。

短期的には下落継続が予想されるが、市場センチメントの改善や新たな買い需要の出現次第では、反発の可能性も排除できない。

【5月28日最新】モネロ（XMR）価格のテクニカル分析

モネロ（XMR）の価格は、2025年5月26日に416ドルに達し、2021年5月以来の高値を記録した後、急激な下落を見せている。

ここからは、週足および日足チャートのテクニカル分析を通じて、XMRの今後の価格動向を予測する。

週足チャートの分析

出典：TradingView XMR/USD 週足 (2021年～現在まで)

週足チャートでは、2024年9月に20週移動平均線が100週移動平均線を上抜くゴールデンクロスが発生した。

このテクニカルイベントは、長期的な強気トレンドへの転換を示す強力なシグナルとして市場に広く認識される。

実際、ゴールデンクロス発生後の価格動向は顕著で、138ドルの底値から416ドルへと約3倍の上昇を記録し、中長期的な上昇トレンドの確立を裏付けた。

この上昇は、プライバシー重視の仮想通貨に対する需要の高まりと、市場全体の楽観的センチメントに支えられたものと考えられる。

しかし、現在の価格は20週移動平均線（約250ドル）および100週移動平均線（約180ドル）から大きく乖離している。

この乖離は、価格の過熱感を反映しており、短期的な調整圧力を引き起こす要因となっている。

相対力指数（RSI）は週足で70を上回る過熱ゾーンに達した後、反落傾向を示しており、市場の過剰な買い圧力が一服していることを示唆する。

移動平均線からの乖離とRSIの反落は、調整局面の継続またはさらなる下落リスクを暗示している。

日足チャートの分析

出典：TradingView XMR/USD 日足 (2024年～現在まで)

日足チャートでは、2025年4月初旬に20日移動平均線が100日移動平均線を上抜くゴールデンクロスが発生し、短期的な下降トレンドの終焉を示唆した。

このシグナルは、買い圧力の強まりを反映し、4月底値の186ドルから6週間で価格が2倍以上となる急上昇を牽引した。

この急騰は、短期的な強気トレンドの継続を裏付ける一方、過熱感を伴う動きでもあった。

現在、価格は20日移動平均線（約355ドル）付近で推移しており、過熱感からの調整局面にある。

5月28日の取引で価格が355ドルを下回って終わる場合、20日移動平均線を明確に下抜けることとなり、テクニカルな弱気シグナルが点灯する。

この場合、次なるサポートゾーンである270ドル付近（50日移動平均線に近接）への下落リスクが高まる。

一方、RSIは日足で49まで低下し、中立ゾーン（50）を下回っており、短期的な弱気モメンタムが優勢であることを示す。

355ドル付近でのサポートが維持され、価格が反発に転じる場合、最近の高値である416ドルへの再挑戦が視野に入る。

このシナリオは、市場センチメントの改善や新たな買い需要の流入に依存する。

モネロ（XMR）相場の要点

• 中長期的な強気トレンドの基盤：2024年9月の週足ゴールデンクロスは、XMRの長期的な上昇トレンドを裏付ける。20週および100週移動平均線がサポートとして機能する限り、中長期の強気見通しは維持される。
• 短期的な調整リスク：日足チャートでの20日移動平均線（355ドル）の下抜けリスクが高まっており、270ドル付近への下落が想定される。RSIの弱気シグナルがこのシナリオを補強する。
• サポートとレジスタンスの注目ポイント：355ドルの維持が短期的な反発のカギとなる。失敗した場合、270ドルが次のサポートゾーン。一方、反発成功時は416ドルへの回復が視野に入る。
• 市場センチメントの影響：プライバシーコインへの需要やマクロ経済の動向が価格に影響を与える。規制環境や市場全体のボラティリティを注視する必要がある。

Mika Kuramoto

CryptoDnesで専属ライターとして暗号資産領域の記事を執筆中。2020年に仮想通貨投資を開始し、ビットコインやNFT、DeFiなど多様な分野での投資経験を積む。2025年1月にCryptoDnesのチームに加わる。