スイ、週間10.5%下落｜ハッキング事件が揺らす市場と回復の鍵

スイ（SUI）の価格は27日、週間比10.5%の下落を記録し、3.4～3.5ドルのレンジを推移している。

この下落は、5月22日のスイおよびアプトス（APT）ブロックチェーン上に構築された分散型取引所（DEX）Cetus Protocolのハッキング事件に起因する。

今年最大級の分散型金融（DeFi）ハッキングとして暗号資産（仮想通貨）市場に衝撃を与えた同事件では、およそ2.2億ドルが流出し、スイの信頼が大きく揺らいだ。

ハッキング事件の詳細と即時的な影響

ハッキング攻撃を受け、即座にバリデータが介入し盗難資産を凍結したが、これが逆に中央集権的な管理やガバナンスの脆弱性に対する批判を招いた。

事件前のスイは、実世界の資産トークン化への期待と機関投資家の強い支持を背景に、有望アルトコインとして1カ月で60%以上の上昇を見せていた。

しかしハッキング事件を受けてスイは即座に14%下落し、仮想通貨投資家の信頼が大きく揺らぐ結果となった

Coinglassのデータによると、ハッキング事件後のボラティリティでデリバティブ取引量は40%増の35.7億ドルに急増した。

一方でオープンインタレストは2.9%減の17.7億ドルとなり、トレーダーの慎重な姿勢が伺える。

今後の展望

Cetus Protocolのハッキングはスイの信頼性に一時的な打撃を与えたが、長期的なファンダメンタルズは依然として堅調である。

実世界の資産トークン化への関心は根強く、機関投資家のサポートも続いている。

ただし、ガバナンスとセキュリティの課題に対処しなければ、投資家の信頼回復は困難だろう。

【5月27日最新】スイ（SUI）価格のテクニカル分析

スイの価格は3.4ドル～3.5ドル水準での攻防が続いている。

週足および日足チャートの分析を通じて、スイの今後の価格動向を予測し、最後に相場の展望を要点としてまとめる。

週足分析：中期トレンドの転換リスク

出典：TradingView SUI/USD 週足 (2024年～現在まで)

週足チャートは、SUIの中期的なトレンド転換の可能性を示唆している。

2024年9月、SUIは20週移動平均線を明確に上抜け、これが上昇トレンドの起点となり、資産トークン化への期待と機関投資家の支持を背景に価格は急騰した。

しかし、2024年12月以降、強い売り圧力により価格は4月まで低迷し、安値1.7ドルを記録。

直近では4月の安値圏からの反発を受け、一時4ドル台を突破したが、5月22日のCetus Protocolハッキングによる14%の急落で3.40ドル台まで下落した。

現在、価格は20週移動平均線（約3.10ドル）に接近しており、この水準を下抜ける場合、2ドル付近への再下落リスクが浮上する。

一方、20週移動平均線を維持し、3.67ドルのレジスタンスを突破できれば、上昇トレンド再開の可能性が高まり、4.00ドル台への回復が視野に入る。

日足分析：短期トレンドの攻防とサポート水準

出典：TradingView SUI/USD 日足 (2025年～現在まで)

日足チャートでは、短期的なトレンド転換の兆候が現れている。4月の安値1.70ドルからの急反発により、20日移動平均線が100日移動平均線を上抜けるゴールデンクロスが発生し、短期的な強気トレンドが確認された。

しかし、Cetus Protocolハッキング後の下落により、価格は3.40ドルから3.50ドルのレンジで停滞。

直近のサポートである3.10ドルは依然として維持されており、この水準が機能すれば、3.67ドルのレジスタンスを再挑戦する展開が予想される。

一方、3.10ドルを下抜ける場合、4月の安値圏である2.00ドル付近への下落リスクが高まる。

RSIは50付近で中立を維持し、方向感の乏しさが伺える。

スイ（SUI）相場の要点

• 3.10ドルのサポートが鍵：3.10ドルを維持できれば、3.67ドルのレジスタンス突破を試す可能性が高まり、短期的な反発が期待される。逆に、下抜けると2.00ドル付近への下落リスクが強まる。
• テクニカル指標の確認待ち：RSIの60超えが強気転換のシグナルとなる。現時点では方向感が乏しく、明確なブレイクアウトを待つ必要がある。

Mika Kuramoto

CryptoDnesで専属ライターとして暗号資産領域の記事を執筆中。2020年に仮想通貨投資を開始し、ビットコインやNFT、DeFiなど多様な分野での投資経験を積む。2025年1月にCryptoDnesのチームに加わる。