分散型金融(DeFi)プラットフォームハイパーリキッドのネイティブトークンであるHYPEの価格は23日、前日比+19%の急騰を記録し、過去最高値37ドルまで到達した。
この急激な価格上昇は、規制対応の進展、著名投資家の強気姿勢、市場のダイナミクスが複合的に影響した結果である。以下に、HYPE価格動向の主要因を分析する。
Hyperliquid Labsは、米商品先物取引委員会(CFTC)に対し、永続的デリバティブと24時間取引に関するコメントレターを提出した。
これらのレターは、DeFiプラットフォームが規制上の懸念に対応しつつ、市場効率と利用者保護を維持する方法を示す実践例として注目されている。
特に、24時間取引に関する提言では、事前資金提供された担保による継続的な流動性確保と、従来の銀行インフラに依存しない運用能力が強調された。
さらに、自動清算システムが取引ごとのマージン要件をリアルタイムで再評価し、CFTCが懸念する担保管理問題に対処している。
永続的デリバティブについては、チェーン上実装の利点が主張された。
Hyperliquidは、リスクプロファイルと消費者保護に焦点を当てた原則ベースの規制アプローチを支持し、革新を阻害する固定分類を避けるべきと訴えた。
このような規制対応は、暗号資産(仮想通貨)市場参加者にHyperliquidの信頼性と将来性を印象づけ、HYPEトークンの価値上昇を後押しした。
HYPEの価格急騰は、著名投資家の関与にも支えられている。
仮想通貨取引所BitMEXのアーサー・ヘイズ元CEOは、HYPEが14.6ドルで取引されていた時点で200万ドル相当のトークンを購入し、100ドルへの到達を予測している。
ヘイズ氏は直近の投稿でHYPEのチャートを「Beast Mode」と称賛し、さらなる上昇余地を強調した。
このような高プロファイルな支持は、市場の楽観的センチメントを増幅し、投資家の買い意欲を刺激した。
一方、オンチェーン分析サイトLookonchainのデータによると、ある大口投資家(クジラ)が4月29日以降、HYPEに対して一貫してショートポジションを構築し、3050万USDCをHyperliquidに預けて5倍レバレッジで取引を行っていた。
しかし、価格の上昇によりこれらのポジションは清算され、元の資本は698万ドルにまで減少した。
この清算劇は、HYPEの強気トレンドの勢いを示すとともに、ショート勢の敗退がさらなる買い圧力を生んだ可能性がある。
HYPEの価格動向は、市場データの裏付けからも顕著である。過去24時間で19%、7日間で37%の上昇を記録している。
この急騰は、機関投資家の関心の高まりや、仮想通貨市場全体の強気ムード、特にビットコイン(BTC)が史上最高値を更新したタイミングと連動している。
Hyperliquidプラットフォーム上でのトレーダー、ジェームズ・ウィン氏の大規模レバレッジ取引も、プラットフォームの広告塔として機能し、HYPEの注目度をさらに高めた。
HYPEの価格上昇は、Hyperliquidの規制対応への積極姿勢、著名投資家の強気な見解、市場のポジティブなセンチメントが相まって生じた。
CFTCとの対話を通じて、HyperliquidはDeFiの可能性と規制順守の両立を示しており、これが投資家の信頼を獲得している。
一方で、今後起こり得るアルトコイン市場の過熱感やレバレッジ取引の清算リスクは、短期的な変動要因として注視が必要である。
ヘイズ氏の100ドル予測が現実となるか否かは、規制環境の進展と市場の流動性次第であるが、HYPEの動向は今後も市場の注目を集めるだろう。
HyperliquidのネイティブトークンHYPEは、2024年11月の上場以降、市場の好材料と調整局面を経て、現在36~37ドル付近で推移している。
以下では、週足および日足チャートのテクニカル分析を通じて、HYPEの今後の価格動向を予測する。
出典:TradingView HYPE/USD 週足 (2024年~現在まで)
週足チャートにおいて、HYPEは20週移動平均線(約20ドル)を重要なレジスタンスとして機能していたが、5月に入りこの水準を明確に突破した。
このブレイクアウトは、強力な買い圧力の存在を示唆し、中長期的な強気トレンドの開始を裏付ける。
現在、価格は20週移動平均線から大きく乖離しており、過熱感が指摘される。相対力指数(RSI)は75付近に達し、買われ過ぎゾーンに突入しているが、モメンタムの減衰は見られず、買い支えが継続している。
出来高も上昇トレンドに伴い増加傾向にあり、市場参加者の関心が高まっていることを示す。
ただし、20週移動平均線からの乖離が拡大しているため、短期的な調整リスクは否定できない。
仮に調整が発生した場合、20ドル付近の20週移動平均線がサポートとして機能する可能性が高い。
出典:TradingView HYPE/USD 日足 (2024年~現在まで)
日足チャートでは、HYPEは過去1カ月半にわたり100日移動平均線(現在18.5ドル付近)を下回る推移を続け、短期的な下降トレンドが支配的であった。
しかし、5月初旬に20日移動平均線と100日移動平均線のゴールデンクロスが発生し、下降トレンドの終焉を示唆する強い反発が観察された。
このゴールデンクロスは、短期的な買いシグナルとして市場参加者に認識され、価格は36~37ドルへと急上昇した。
現在の価格水準は、2024年12月の高値(35ドル台)に匹敵するが、出来高の増加がこの上昇を裏付けており、持続性のあるモメンタムが確認される。
ただし、RSIが70を超える水準にあり、短期的な過熱感が漂う。
直近のサポートは20日移動平均線の25ドル付近、100日移動平均線の18.5ドル付近が意識される。