イーサリアム(ETH)の価格は14日、米国消費者物価指数(CPI)の予想を下回る結果を受け、前日比8.5%の急騰を記録し2600ドル台へ到達した。
週次では45%の大幅な価格上昇となり、主要アルトコインとしてビットコイン(BTC)からの資金ローテーションが顕著に進んでいる。
米国労働統計局(BLS)が発表した4月のCPIは、ヘッドラインCPIが月次0.2%増(予想0.3%)、年次2.3%(予想2.4%)と、2021年2月以来の低水準を記録した。
コアCPI(食品・エネルギーを除く)は月次0.2%増(予想0.3%)、年次2.8%で安定。
市場予想を下回るインフレデータは、米連邦準備制度(FRB)が9月に25ベーシスポイントの利下げを実施するとの期待を高め、CME FedWatch Toolでもその確率が上昇した。
この軟調なインフレ指標は、暗号資産(仮想通貨)市場全体の強気センチメントを再燃させ、イーサリアムは2400ドル水準から反発し、2600ドル台を回復。
また、資産運用大手アブラクサス・キャピタルは、5月7日以降、バイナンスから3万3482 ETHを引き出し、Aaveから2.4億ドル(約372億円)相当のテザー(USDT)を借り入れた後、合計21万1030 ETHを購入した。
こうした大口投資家の動きが価格上昇を後押しした。
イーサリアムのビットコインに対するパフォーマンスも注目される。
ETH/BTC比率は過去1週間で0.018から0.025へと30%以上上昇し、市場資金がビットコインから主要アルトコインであるイーサリアムへシフトしていることを示唆する。
ただし、ドイツ証券取引所グループ傘下Crypto Financeのアナリスト、Tim Beer氏は、「過去2.5年間、ETH/BTCの週足陽線は売却圧力を伴う傾向がある」と指摘し、歴史的パターンが継続する可能性に言及した。
仮想通貨取引会社QCPのアナリストは、ETHのファンディングレートが適度に高く、オプション市場がプットにやや傾いている点を挙げ、「今回のブレイクアウトは投機的な過熱によるものではない」と分析。
さらに、長期オプションのフローが再び活発化しており、イーサリアムが市場の次なる主要な投資対象として位置付けられつつあると見る。
イーサリアム(ETH)は2024年の強気相場を経て調整局面に突入したが、2025年4月以降のパフォーマンス回復により上昇モメンタムの再燃が示唆される。
以下、週足および日足チャートの分析を通じて、価格動向の背景と今後の展望を提示する。
出典:TradingView ETH/USD 週足 (2024年~現在まで)
週足チャートでは、2023年11月のゴールデンクロス(20週移動平均線が100週移動平均線を上抜け)を起点に、ビットコインETF承認や米国大統領選といった外部要因がETHを2000ドルから2024年12月のピーク4100ドルへと押し上げた。
しかし、ピーク後のモメンタム失速は顕著で、2025年初頭には一時1400ドルまで下落。
直近では20週移動平均線(約2400ドル)と100週移動平均線(約2600ドル)を回復し、長期サポート水準での反発力が確認される。
20週移動平均線は2024年強気相場の主要な動的サポートとして機能し、過去の調整局面でも買い圧力の再燃を支えた。
現在の価格がこの水準を維持している点は、売り圧力の減退と買い手の再参入を示唆する。
出典:TradingView ETH/USD 日足 (2024年~現在まで)
日足チャートでは、2025年1月下旬に20日移動平均線が100日移動平均線を下抜けるデッドクロスが形成され、売り圧力が加速。
価格は1400ドルまで急落したが、この水準は2023年後半の需要ゾーンと一致し、強力な反発を誘発した。
次のレジスタンスは2850ドルであり、日足終値でこの水準を明確に上抜ける場合、3000ドル台への上昇が視野に入る。
一方、直近安値の2400ドル付近を下回る場合、100日移動平均線付近の2100ドルの需要ゾーンが再びサポートとして機能する可能性が高い。