イーサリアム(ETH)の価格は20日、前日から6%上昇し、2540ドル付近で取引されている。
先週、イーサリアム関連の投資商品は2億500万ドルの純流入を記録し、投資家の楽観的な見方が強まった。
これは、ペクトラ(Pectra)アップグレードの成功とイーサリアム財団の指導体制再編が背景にあると、資産運用会社コインシェアーズの週間レポートが指摘している。
これまでの米国によるイーサリアム現物上場投資信託(ETF)主導の流入パターンとは異なり、今回の買い圧力はグローバルなイーサリアム投資商品プロバイダー間で均等に分布していた。
さらに、1万~10万ETHを保有するクジラ投資家の動きも注目される。
オンチェーン分析プラットフォームSantimentのデータによると、これらの投資家は過去5日間で保有量を67万ETH増加させ、強烈な買い圧力を示した。
このクジラの積極的な蓄積は、市場の信頼感を裏付ける要因として機能している。
一方で、上記の強気要因にもかかわらず、イーサリアムの価格は先週約1%下落し、前の週の強気なモメンタムが冷え込んだ。
主な原因は、ヘッジファンドによるショートポジションの急増にある。
暗号資産(仮想通貨)分析サイトCryptoQuantのデータによれば、バイナンスのイーサリアムNet Taker Volume指標はショートポジションの増加を示している。
また、仮想通貨メディアThe Blockの報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)でヘッジファンドは先週、8.8億ドルのショートポジションを追加し、純ポジションはマイナス12.5億ドルに達した。
この戦略では、ヘッジファンドは現物市場でイーサリアムを買い、同時に対応するショートポジションを先物市場で保有する。
これにより、価格変動リスクを抑えつつ利益を追求することはできるが、イーサリアムの上値を抑える要因ともなっている。
仮想通貨投資家の楽観と慎重姿勢がせめぎ合う状況が続いており、今後の価格動向はファンダメンタルズとマクロ環境の両面からの判断が求められる。
イーサリアム(ETH)は2024年の強気相場を経て調整局面を経験したが、2025年4月以降のパフォーマンス回復により、上昇モメンタムの再燃が示唆される。
以下、週足および日足チャートの分析を通じて、価格動向の背景と今後の展望を提示する。
出典:TradingView ETH/USD 週足 (2024年~現在まで)
週足チャートでは、2023年11月のゴールデンクロス(20週移動平均線が100週移動平均線を上抜け)を起点に、ビットコインETF承認や米国大統領選挙といった外部要因がイーサリアム価格を2000ドルから2024年12月のピーク4100ドルまで押し上げた。
この上昇局面では、20週移動平均線が主要な動的サポートとして機能し、調整局面での買い圧力の再燃を支えた。
しかし、ピーク後のモメンタム失速は顕著で、2025年初頭には一時1400ドルまで下落。
直近の動向では、20週移動平均線(約2340ドル)を回復し、長期サポート水準での反発力が確認される。
この価格水準の維持は、売り圧力の減退と買い手の再参入を示唆するが、100週移動平均線(約2600ドル)が抵抗線として上値を抑えている点に留意が必要である。
今後、週足終値でこの水準を明確に突破できれば、さらなる上昇余地が広がる可能性が高い。
出典:TradingView ETH/USD 日足 (2024年~現在まで)
日足チャートでは、2025年1月下旬に20日移動平均線が100日移動平均線を下抜けるデッドクロスが形成され、売り圧力が加速。
価格は1400ドルまで急落したが、この水準は2023年後半の需要ゾーンと一致し、強力な反発を誘発した。
直近高値の2740ドルは短期的なレジスタンスとして機能しており、日足終値でこの水準を明確に上抜ける場合、2850ドル付近への上昇が視野に入る。
一方、2740ドルを突破できない場合、20日移動平均線(約2270ドル)までの下落リスクが高まる。