ETH資金流入加速、価格は2600ドル回復｜SEC声明が追い風に

主要な暗号資産（仮想通貨）であるイーサリアム（ETH）の価格は3日、直近24時間で4.7%上昇し、約2600ドルで取引されている。投資商品のパフォーマンスが際立つ中、市場の注目を集めている。

ETH関連投資に勢い、2024年12月以来の強い流入傾向

資産運用会社CoinSharesの最新レポートによると、イーサリアム関連の投資商品は先週、3億2100万ドルの純流入を記録し、6週連続の流入で合計11.9億ドルに達した。

これは2024年12月以来の最も強い流入傾向であり、特に米国イーサリアム現物上場投資信託（ETF）は、2億8580万ドルの純流入を記録し、10日連続の流入を維持している。

一方、ビットコイン（BTC）関連商品は80万ドルの純流出で6週間の流入傾向を終え、リップル（XRP）商品も2週連続で2820万ドルの流出を記録した。

価格上昇の主因：SECのステーキング規制緩和

イーサリアム価格の堅調な動きの背景には、米国証券取引委員会（SEC）の企業金融部門が先週木曜日に発表した仮想通貨ステーキングに関する声明が大きく影響している。

この声明では、自分で仮想通貨を預けて報酬を得る方法（自己ステーキング）や、他のサービスを使って預ける方法（保管型・非保管型のステーキングサービス）について、証券取引のルールには当てはまらないと明確にされた。

SECのヘスター・パース委員が主導するこの立場は、資産運用会社がイーサリアムETF内でステーキングを可能にする、申請の承認への道を開く可能性がある。

これにより投資家のイーサリアムへの関心が高まり、ETF流入の持続的な増加を後押ししている。

【6月3日最新】イーサリアム（ETH）価格のテクニカル分析

イーサリアム（ETH）は2024年の強気相場を経て一時的な調整局面を経験したが、2025年4月以降のパフォーマンス回復により、上昇モメンタムの再燃が示唆される。

以下、週足および日足チャートの分析を通じて、価格動向の背景を評価し、今後の展望を提示する。

週足分析：長期トレンドの再評価

出典：TradingView ETH/USD 週足 (2022年～現在まで)

週足チャートでは、2023年11月のゴールデンクロス（20週移動平均線が100週移動平均線を上抜け）を起点に、外部要因がETH価格を牽引した。

ビットコインETFの承認や米国大統領選挙の動向が、2024年12月のピーク4100ドルまで価格を押し上げた。

この上昇局面では、20週移動平均線（直近では約2270ドル）が動的サポートとして機能し、調整局面での買い圧力の再燃を支えた。

しかし、ピーク後のモメンタム失速は顕著で、2025年初頭には一時1400ドルまで下落した。

直近の動向では、20週移動平均線を回復し、長期サポート水準での反発力が確認される。この価格水準の維持は、売り圧力の減退と買い手の再参入を示唆する。

ただし、100週移動平均線（約2600ドル）が抵抗線として上値を抑えている。

週足終値でこの水準を明確に突破できれば、3000ドル超への上昇余地が広がる可能性が高い。

日足分析：短期モメンタムの回復とレジスタンス試行

出典：TradingView ETH/USD 日足 (2024年～現在まで)

日足チャートでは、2025年1月下旬から売り圧力が加速していたが、5月に入り20日移動平均線が100日移動平均線を上回るゴールデンクロスが発生し、短期的な上昇相場の到来が示唆される。

直近高値の2730～2740ドルは短期的なレジスタンスとして機能しており、日足終値でこの水準を明確に上抜ける場合、2850ドル付近への上昇が視野に入る。

なお相対力指数（RSI）は中立レベル付近で推移しており、過熱感は見られない。

一方、2740ドルを突破できない場合、100日移動平均線（約2000ドル）までの下落リスクが高まる。

特に、最近の市場データでは、過去24時間で3163万ドルの先物清算が記録され、買いと売りの清算額が均衡している。

この均衡状態は、市場参加者の慎重な姿勢を反映しており、短期的な方向性の確立には2740ドルの突破が鍵となる。

イーサリアム（ETH）相場の要点

• 長期トレンドの回復力：週足チャートで20週移動平均線（2270ドル）を維持する限り、上昇トレンドの再開が期待される。100週移動平均線（2600ドル）の突破が次の強気局面の指標となる。
• 短期的なレジスタンス：日足チャートでは、2730～2,40ドルのレジスタンス突破が短期上昇の鍵。成功した場合、2850ドルが次の目標となる。
• 下落リスクの管理：2340ドルを下抜ける場合、1800～2000ドルのサポートゾーンが試される可能性がある。100日移動平均線（2000ドル）の維持が短期的な安定性の指標となる。
• 市場センチメント：SECのステーキングに関する前向きな声明（2025年5月）がETHへの関心を高めており、テクニカル要因とファンダメンタルズが連動する可能性が高い。

Mika Kuramoto

CryptoDnesで専属ライターとして暗号資産領域の記事を執筆中。2020年に仮想通貨投資を開始し、ビットコインやNFT、DeFiなど多様な分野での投資経験を積む。2025年1月にCryptoDnesのチームに加わる。