ビットコイン、10.5万ドル下回り軟調推移｜クジラ利確影響か

ビットコイン（BTC）の価格は5日、前日比0.8%下落し、10万4586ドルへ後退した。

時価総額は2.08兆ドルで同様に0.7%減少し、取引高は0.15%減の442.5億ドルとなった。

この下落は、過去1週間で0.70%の下落傾向と一致しており、市場の注目は大口投資家（クジラ）の利確行動に集まっている。

クジラの利確が市場に影響

ビットコインは5月から6月にかけて、史上最長となる27日間連続で10万ドル以上の価格を維持した。

これは1月の18日間の記録を上回る歴史的な強気相場である。

しかし、この高値圏での取引が続いたことで、クジラと呼ばれる大口仮想通貨投資家が利益確定に動いている。

アナリストのウィリー・ウー氏は6月3日のX投稿で、1万BTC以上を保有する「ビッグクジラ」が2017年以来売却を続けていると指摘。

2017年に277万BTCだったクジラの保有量は2025年には160万BTCまで約40%減少した。

これらのBTCは主に0ドルから700ドルで取得され、8～16年間保有されていたものが売却されている。

この利確の動きは、ビットコインが心理的に重要な10万ドルを超える水準で安定していた時期に加速。

クジラの売却は暗号資産（仮想通貨）市場全体に一時的な下落圧力をもたらし、6月5日のビットコイン価格下落の一因と考えられる。

今後の見通し

10.4万ドル水準で買い手が再参入する可能性があるが、クジラの利確が続く場合、さらなる下押し圧力が生じるリスクも否定できない。

市場は、クジラの動向やマクロ経済指標、規制環境の変化に引き続き注視する必要がある。

ビットコインが10万ドルを維持する強気トレンドは依然として健在だが、短期的な調整局面が訪れる可能性は高まっている。

【6月5日最新】ビットコイン（BTC）価格のテクニカル分析

ビットコイン市場は長期トレンドを維持しながらも、短期的には重要な分岐点に差し掛かっている。

テクニカル指標と市場のセンチメントが交差する局面であり、今後の動きには引き続き高い注目が集まる。

週足および日足チャートのテクニカル分析をもとに、今後の価格推移を予測する。

週足チャートに見る中長期の構図

出典：TradingView BTC/USD 週足 (2023年～現在まで)

2023年10月、ビットコインの週足チャートで20週移動平均線（20週MA）が100週移動平均線（100週MA）を上回るゴールデンクロスを形成。

これが長期的な上昇基調の明確な転換点となり、2024年の米国ビットコインETF承認と重なって強気相場が一段と加速した。

2025年5月には過去最高値の11万ドルを一記録したが、相場過熱に対する警戒感から利益確定売りが進行。

現在の価格帯（約10.4万ドル）は20週MA（約9.4万ドル）を依然として上回っており、この移動平均線が長期サポートラインとして意識されている。

これまでの価格推移では20週MA付近で反発する傾向が強く、今後の調整局面でもこの水準の攻防が注目される。

逆に9.4万ドルを明確に割り込んだ場合、次の支持帯として8.5万ドル近辺が浮上する可能性がある。

日足チャート：短期の攻防が続く

出典：TradingView BTC/USD 日足 (2025年～現在まで)

短期チャートでは、5月上旬に20日移動平均線（20日MA）が100日線をクロスし、上昇バイアスが鮮明化。

5月22日には11万ドルを突破したが、米国の通商政策に対する不透明感や地政学リスクの高まりが重石となり、現在は20日MA（約10万6800ドル）をわずかに下回る水準で推移している。

この20日MAが目先のレジスタンスとなっており、ここを再び上抜けできない場合は、10万ドルの心理的節目が試される展開も視野に入る。

その下には9.4万～9.6万ドルのサポートゾーンが控える。

一方、20日MAを明確に上抜け、10.7万ドルをブレイクした場合には、買い意欲が再点火される可能性も残る。

RSI（相対力指数）は現在50前後で中立圏にあり、過熱感は後退しているものの、トレンド転換を示す明確なシグナルは確認できていない。

ビットコイン（BTC）相場の要点

• 長期的視点での強気継続のカギ：週足の20週MA（約9.4万ドル）は重要なサポート帯。ここを維持できるかどうかが、長期上昇トレンドの継続可否を左右する。
• 短期の節目は10.65万ドルと10万ドル：直近では20日MAが上値抵抗線となっており、ここを超えられなければ10万ドルの攻防にシフト。そこを割り込めば、9.4～9.6万ドルが焦点に。
• 外部環境が市場ムードに影響：通商政策の動向や地政学的リスクがセンチメントを左右しており、短期的なボラティリティ上昇の要因に。
• RSIと10.7万ドルの突破に注目：モメンタム回復には10.7万ドルの明確な上抜けが必要。これにより、新たな上昇フェーズへの移行が視野に入る。

Mika Kuramoto

CryptoDnesで専属ライターとして暗号資産領域の記事を執筆中。2020年に仮想通貨投資を開始し、ビットコインやNFT、DeFiなど多様な分野での投資経験を積む。2025年1月にCryptoDnesのチームに加わる。