BTC、週末の急落から回復｜アジア時間で10.6万ドルに迫る

ビットコイン（BTC）は価格は2日、週末の大幅な下落を経てアジア取引時間帯に回復の兆しを見せ、一時的に10.6万ドルに迫った。

週末には米国トランプ大統領の発言を背景に、10万3100ドルの安値を付けたが、週明けにかけて約3000ドルの上昇を見せた。

暗号資産（仮想通貨）市場全体の時価総額は30億ドル増加し、3.41兆ドルに達した一方、ビットコインの市場支配率は61.5%に上昇した。

ビットコイン価格変動の要因

ビットコイン価格の最近の変動は、米国の通商政策を巡る発言とその国際的な反応に大きく影響を受けた。

5月22日に史上最高値を更新した後、トランプ大統領がEUに対して新たな関税を警告したことで、翌23日に急激な調整局面を迎えた。

EUとの交渉により関税導入が1カ月以上延期されたものの、市場の勢いは失速し、ビットコインは11万ドルで上値を抑えられた。

さらに、6月1日金曜夜、トランプ大統領が中国による貿易協定違反を非難したことで、仮想通貨投資家の間に不透明感が広がった。

中国が即座に反論し、地政学的緊張が高まる中、ビットコインは数千ドルの下落を記録し、土曜日に10万3100ドルまで下落した。この動きは、市場参加者のリスク回避姿勢を反映したものと考えられる。

週明けの6月2日、市場は落ち着きを取り戻し、ビットコインは10.4万ドルから10.6万ドルまで回復したが、10.6万ドル付近で抵抗に直面し、現在は約10.4万ドル水準で推移している。

この回復は、短期的な売られ過ぎ感に対する買い戻しや、米中間の緊張が一時的に緩和したとの観測が背景にあると推測される。

【6月2日最新】ビットコイン（BTC）価格のテクニカル分析

週末の下落から一時的に回復したものの、ビットコイン（BTC）の価格はテクニカル的には依然として本格的な反転とは言い難い。

週足および日足チャートのテクニカル分析をもとに、今後の価格推移を予測する。

週足チャートの分析

出典：TradingView BTC/USD 週足 (2023年～現在まで)

週足チャートでは、2023年10月に20週移動平均線（MA）が100週MAを上抜けるゴールデンクロスが発生し、ビットコイン（BTC）は長期的な上昇トレンドを確立した。

このテクニカルイベントは、市場の強気心理を強く裏付け、2024年の米国ビットコインETF承認を追い風に、2025年1月には10.9万ドルの過去最高値を記録。

その後、過熱感の解消に伴う調整局面を迎えたが、長期トレンドの転換を示唆する明確なシグナルは観測されていない。

直近では、BTCが11万ドルを突破したが、その後の調整により20週MAとの乖離を縮小する動きが見られる。

現在の価格水準（10.4万ドル付近）は、20週MAを上回る位置を維持しているものの、過度な楽観論が後退する中、20週MA水準（9.4万ドル）付近のサポートゾーンが意識される。

この水準は、過去の調整局面で買い支えられた重要な価格帯であり、トレンドの継続性を測る鍵となる。

日足チャートの分析

出典：TradingView BTC/USD 日足 (2025年～現在まで)

日足チャートでは、5月初旬に20日MAが100日MAを上抜けるゴールデンクロスが発生し、短期的な上昇トレンドの開始を示唆した。

5月22日には11万ドルを突破したが、米国の通商政策を巡る不透明感や地政学的緊張の高まりを受け、20日MAを下抜ける調整フェーズに突入した。

現在の価格は20日MA（約10万6500ドル付近）を僅かに下回る水準で推移しているが、20日MAの抵抗を再び突破できなかった場合、心理的節目である10万ドルが試される可能性がある。

またこの水準を割り込むと、次なるサポートゾーンである9.4万～9.6万ドルが視野に入る。

一方で、短期的なモメンタムが回復し、20日MA水準の10万6500ドルを明確に突破すれば、新たな上昇局面が期待される。

ビットコイン（BTC）相場の要点

• 長期トレンドの継続性：週足チャートのゴールデンクロスと20週MAの支持により、BTCの長期上昇トレンドは依然として有効である。ただし、9.4万ドル付近のサポート維持がトレンド継続の鍵となる。
• 短期的な抵抗とサポート：日足チャートでは、10.6万ドルが直近の抵抗線、10万ドルが心理的サポートとして機能。10万ドルを割り込む場合、9.4万～9.6万ドルが次の下値目途となる。
• 外部要因の影響：米国の通商政策や地政学的動向が市場センチメントに影響を与え続けており、価格変動リスクを高めている。
• 上昇シナリオの条件：11万ドルを明確に突破し、20日MAを上回るモメンタムが継続すれば、12万ドルに向けた新たな上昇局面が視野に入る。

Mika Kuramoto

CryptoDnesで専属ライターとして暗号資産領域の記事を執筆中。2020年に仮想通貨投資を開始し、ビットコインやNFT、DeFiなど多様な分野での投資経験を積む。2025年1月にCryptoDnesのチームに加わる。