ビットコイン(BTC)の価格は19日、一時的に過去最高値に迫る10.7万ドルに到達し、顕著な上昇を見せている。
今回の価格急騰は、従来の個人投資家主導の投機的な動きとは異なり、ビットコイン現物ETF(上場投資信託)への巨額の資金流入、安定した金利環境、そしてインフレ懸念の再燃が主な要因として浮上している。
米国におけるビットコイン現物ETFは、5月前半だけで28億ドル以上の純流入を記録した。
特に5月2日には、1日で6億7490万ドルの流入があり、5月16日時点の累計流入額は417億7000万ドルに達した。
直近1週間でも12億ドル(約1752億円)超の資金が流入し、ETFの総純資産は1220億ドルを超え、機関投資家の関心の高まりを裏付けている。
また、米国株式市場ではS&P500指数が5900ポイントを記録したことも投資家心理の下支えとなり、リスクオンの流れが暗号資産(仮想通貨)市場全体にも波及している。
ビットコインの上昇は、マクロ経済の動向とも密接に関連している。米連邦準備制度理事会(FRB)は、基準金利を4.25~4.50%に据え置く慎重な姿勢を維持している。
ジェローム・パウエル議長は先週、経済データに応じた柔軟な対応を強調する一方、政策変更の即時的な兆候は示さなかった。
インフレ圧力が依然として懸念される中、新たな貿易政策がサプライチェーンに影響を及ぼし始めていることが、ビットコインの「インフレヘッジ」としての魅力を高めている。
また、関税による価格上昇は、インフレ見通しを複雑化させる懸念を高めており、投資家は持続的な物価圧力が金融政策やリスク資産全体のセンチメントに与える影響を再評価している。
こうした環境下で、ビットコインは伝統的な資産クラスに対する代替投資としての地位を強化。
特に、インフレ期待の高まりがビットコインなどリスク資産への資本流入を促し、仮想通貨投資家の楽観的な見方を後押ししている。
ビットコインは2025年5月19日時点で10.3万ドル付近で取引されており、過去最高値10.9万ドルに迫る勢いを見せている。
長期的な強気トレンドの再確認と短期的な上昇加速が市場の主軸となっており、主要な抵抗線突破が次の焦点となる。
出典:TradingView BTC/USD 週足 (2023年~現在まで)
週足チャートでは、ビットコインは2023年10月の移動平均線ゴールデンクロス以降、長期的な上昇トレンドを維持している。
このシグナルは市場の強気心理を裏付け、2024年の米国ビットコインETF承認を追い風に、2025年1月に10.9万ドルの過去最高値を記録した。
しかし、2025年4月の大幅な調整により、20週移動平均線を一時的に下回り、100週移動平均線との乖離が縮小した。
この下落は、過熱感の解消を伴う一時的な調整であり、長期トレンドの転換を示すものではない。
直近の価格上昇により、20週移動平均線を回復し、過去最高値に再接近している。この回復は、2023年以降の強気トレンドの再開を支持する重要なテクニカルシグナルである。
現在の価格水準では、10.9万ドルの過去最高値が主要な抵抗線として機能する。
このレベルを明確に突破できれば、心理的節目である12万ドルに向けた新たな上昇局面が開ける可能性が高い。
一方、調整局面では、9万ドル付近の100日移動平均線が強固なサポートとして機能すると予想される。
このサポートは、過去のトレンドでも買い圧力の再燃を支えてきた重要な水準である。
出典:TradingView BTC/USD 日足 (2025年1月~現在まで)
日足チャートでは、5月に入り20日移動平均線が100日移動平均線を上回るゴールデンクロスが発生し、短期的な上昇トレンドの開始を示唆した。
価格は5月8日に心理的節目である10万ドルを突破し、10.3万ドル付近で推移している。
取引量は価格上昇に伴って増加しており、市場の買い圧力の強さとトレンドの持続性を裏付けている。
一時的に10.7万ドルに到達したものの、レジスタンスの反発により小幅な下落を見せた。
しかし、現在の市場センチメントと買い圧力の強さから、10.7万ドルを再び試し、過去最高値10.9万ドルに挑戦する展開が想定される。
調整局面では、10万ドル付近の20日移動平均線が直近のサポートとして機能するだろう。
この水準は、過去数週間の上昇トレンドで買い手が再参入したポイントと一致している。