ビットコイン(BTC)は9日、10万ドルを突破し、早朝のアジア市場で10万3460ドルまで急騰、24時間で6%以上の上昇を記録した。
この急騰は、米連邦準備制度(FRB)の利下げ期待の高まり、機関投資家の需要再燃、米英間の暫定的な貿易協定による市場の楽観ムードが背景にある。
FRBは5月7日、政策金利を据え置く決定を発表したが、ジェローム・パウエル議長は利下げの具体的な時期について明言を避けた。
それにもかかわらず、CMEのFedWatchツールによると、7月に利下げが行われる確率は70%、10月までに少なくとも1回の利下げが実施される確率は95%と、市場は積極的に利下げを織り込んでいる。
利下げは、債券や定期預金といった低リスク資産の魅力が低下し、暗号資産(仮想通貨)やテクノロジー株のような高リスク資産への投資を促す。
ドナルド・トランプ大統領は5月8日、パウエル議長を「愚か者」と批判し、利下げが経済に「ジェット燃料」のような効果をもたらすと主張した。
この発言は、市場の楽観的なセンチメントをさらに後押しした。
投資管理会社ARK Investの4月レポートによると、米国のビットコイン現物ETFには11月以来最高となる2万9800 BTCの純流入が記録された。
さらに、取引所のビットコイン残高は2018年以来最低の14%に低下している。
これは、仮想通貨投資家が長期保有を目的にコールドストレージへ資産を移している兆候であり、供給減少による価格上昇圧力を示唆する。
「この価格動向は、ビットコインがグローバルな不確実性の中で安全資産として考慮されるべきとの見方を強める」とARK Investは述べている。
5月8日、トランプ大統領は英国との「主要な」貿易協定を発表した。
これは英国の自動車および鉄鋼輸出に対する関税の軽微な調整とクオータの緩和を含むもので、トランプ政権復帰後初の貿易協定となる。
経済学者ジャスティン・ウォルファース氏は「経済的影響は極めて小さい」とし、ナショナル・オーストラリア銀行のタパス・ストリックランド氏は「単なる枠組みにすぎない」と評したが、市場は貿易緊張の緩和を歓迎した。
米国株式市場は堅調で、S&P 500が0.6%、ナスダックが1.1%上昇した。一方、英国のFTSE 100は0.3%下落し、ロンドン市場では慎重なムードが広がった。
これにより、仮想通貨投資家の間に新たな楽観ムードが広がり、ビットコインをはじめとする主要コインが軒並み急騰した。
ビットコイン(BTC)は5月9日時点で10.3万ドル付近で推移し、心理的節目である10万ドルを突破した。週足および日足チャートのテクニカル指標は、長期および短期の上昇トレンドの継続を示唆する。
出典:TradingView BTC/USD 週足 (2024年~現在まで)
週足チャートでは、2023年10月の移動平均線ゴールデンクロス以降、ビットコインは長期的な上昇トレンドを維持している。
このシグナルは市場の強気心理を裏付け、2024年の米国スポットビットコインETF承認を追い風に、2025年1月に10万9,000ドルの過去最高値を記録した。
しかし、4月の大幅な下落により、20週移動平均線を一時的に下回り、100週移動平均線との乖離が縮小した。
この下落は長期トレンドの転換ではなく、過熱感の解消を伴う一時的な調整と解釈される。
直近の価格上昇により、ビットコインは20週移動平均線を回復した。
この回復は、2023年以降の長期強気トレンドの再開を支持する重要なシグナルである。
相対力指数(RSI)は週足で65付近に位置し、過熱ゾーン(70以上)に達していないことから、持続的な上昇余地が残されている。
次の主要な抵抗線は10.9万ドルの過去最高値であり、これを明確に突破できれば、12万ドルに向けた新たな上昇局面が開ける可能性が高い。
出典:TradingView BTC/USD 日足 (2025年~現在まで)
日足チャートでは、5月に入り20日移動平均線が100日移動平均線を上回るゴールデンクロスが発生し、短期的な上昇トレンドの到来を示唆した。
価格は順調に上昇し、5月8日に心理的節目である10万ドルをクリアした。
現在の価格は10.3万ドル付近で推移し、RSIは69.98と強い勢いを維持するが、過熱ゾーンには未達である。
取引量も価格上昇に伴って増加しており、今回のブレイクアウトの信頼性を裏付けている。
目先の抵抗線は10.5万ドルの心理的節目であり、ここでは短期的な利確売りによる反発圧力が予想される。
しかし、市場の買い圧力が強い現状では、このレベルを突破し、過去最高値の10.9万ドルを再び試す展開が想定される。
一方、下落した場合、9.7万ドル付近が主要なサポートとして機能すると推測される。