ビットコイン、10.8万ドル割れ｜ETF鈍化と企業動向が影響か

ビットコイン（BTC）の価格は8日、10万8000ドル下回って推移し、過去24時間で約1.6％下落した。

この価格動向の背景には、仮想通貨（暗号資産）市場の現物需要の減退、企業による戦略的な買い増し活動、およびマクロ経済の不確実性が複雑に絡み合っている。

以下、最近の市場動向を基に、ビットコイン価格に影響を与えた主要因を分析する。

現物需要の減退と市場センチメントの低下

最近数週間、現物ビットコインの需要は顕著な減速を見せている。

CoinSharesの7月7日付レポートによると、ビットコインETFへの流入額は先週7億9000万ドルを記録したが、これは直近3週間の平均流入額15億ドルから大幅に減少した。

この傾向は、ビットコイン価格が過去最高値に近づく中、市場参加者の慎重な姿勢を反映している。

大手仮想通貨取所MEXCのShawn Young主任アナリストは、「市場センチメントはマクロ経済の不安定さにより重圧を受けている」と指摘。

短期的な不確実性が投資家の買い意欲を抑制し、価格の横ばいを招いていると分析する。

ストラテジー社の戦略的動きとビットコイン蓄積再開

一方、企業によるビットコインの積極的な蓄積は、価格を下支えする要因となっている。

世界最大のビットコイン保有企業ストラテジー社は4月14日から約3カ月にわたり、6万9000BTC以上を約70億ドルで購入し、総保有量を59万7325BTC（約650億ドル、ビットコイン総供給量の2.8％超）まで拡大した。

しかし、先週は新たな購入を控えたものの、7月7日に米SECに提出した書類で、42億ドルのSeries A Perpetual Stride Preferred Stock（STRD）のATMオファリング契約を締結したと発表。

これにより、ビットコインの買い増しを再開する方針を示した。この動きは、企業のバランスシートにおけるビットコインの戦略的ポジション強化を反映しており、市場に一定の強気シグナルを送る可能性がある。

週末のウォレット活動と市場の反応

7月5日、8つの休眠状態だったウォレットが約85億ドル相当のBTCを一斉に移動させたことが市場の注目を集めた。

この突発的な活動は一時的な不安を招いたが、著名なビットコイン投資企業メタプラネットなどの企業による週末の戦略的買い増しが価格を安定化させた。

オプション市場では、9月の13万ドルコールオプションや11万5000ドル/14万ドルのコールスプレッドへのポジション構築が続き、第3四半期の強気見通しが根強いことを示唆している。

今後の展望

Young氏は、近々ビットコイン需要の再燃を促す契機が訪れると予測する。

「市場参加者は、仮想通貨に関する新たな政策の方向性を期待し、有利なポジションを確保しようとするだろう」と述べ、政策動向が価格上昇の触媒となる可能性を指摘している。

マクロ経済の不透明感が続く中、企業による継続的な買い増しやETF流入の回復が、価格の次のブレイクアウトを支える鍵となるだろう。

【7月8日最新】ビットコイン（BTC）価格のテクニカル分析

ビットコイン（BTC）は長期的な上昇基調を維持しつつ、短期的な価格変動が市場の注目を集めている。以下、週足および日足チャートを基に市場構造を分析し、今後の価格動向を予測する。

週足分析：強気トレンドの堅牢な基盤

出典：TradingView BTC/USD 週足（2023年～現在まで）

週足チャートは、ビットコインの長期的な強気トレンドが引き続き強固であることを示している。

2023年10月、20週移動平均線（20週MA）と100週移動平均線（100週MA）のゴールデンクロスが形成され、強気相場の基礎が確立された。

この動きは、2024年の米国現物ビットコインETF承認に伴う機関投資家の参入加速を背景に、2025年5月に価格が史上最高値11万1900ドルを記録する原動力となった。

その後、過熱感による利確売りが調整を誘発したが、10万ドルゾーンが主要なサポートとして機能している。

20週MAが100週MAを大きく上回る現在の構造は、長期トレンドの持続性を裏付ける。次のレジスタンスゾーンは11万ドルから12万ドルに位置し、週足終値でこのゾーンを明確に突破した場合、13万ドル台が次の現実的なターゲットとなる。

一方、10万ドルを週足で下抜ける展開では、9万5000ドルから9万6000ドルのサポートゾーンが重要となる。このゾーンの維持は、長期的な上昇トレンドの継続に不可欠である。

日足分析：短期的なモメンタム回復の兆候

出典：TradingView BTC/USD 日足（2025年～現在まで）

日足チャートは、短期的な価格変動が複雑な市場心理を反映している。

2025年5月上旬、20日移動平均線（20日MA）が100日移動平均線（100日MA）を上抜くゴールデンクロスが形成され、短期的な強気バイアスが確認された。

しかし、6月下旬には米国の通商政策の不透明感や地政学的緊張の高まりが市場を圧迫し、一時10万ドルを割り込む場面が見られた。それでも、機関投資家の継続的な買い支えにより、サポートゾーンは維持された。

直近では、11万ドルに接近する価格上昇が、5月以来形成されていた日足の下降チャネルラインの上方ブレイクを伴った。

この動きは、短期的な強気モメンタムの回復を示唆しており、次のレジスタンスとして6月の高値11万1750ドルが意識される。

この水準を日足終値で明確に突破した場合、過去最高値11万1900ドルの更新に向けた勢いが高まる。

一方、10万ドル付近のサポートゾーンは引き続き堅牢であり、買い圧力が観測される。このゾーンを日足実体で下抜ける場合、9万5000ドルから9万6000ドルへの下落リスクが浮上する。

相対力指数（RSI）は現在、65付近で推移しており、過熱感は限定的である。RSIが70を超える場合、短期的な過買いシグナルが発生する可能性があるが、現時点では上昇余地が残されている。

要点：ビットコイン市場の今後の展望

• 長期トレンドの持続性：週足の20週MAと100週MAの構造は、ビットコインの強気トレンドが堅牢であることを示す。10万ドルのサポート維持が長期的な上昇基調の鍵となる。
• 短期的なブレイクアウトの可能性：日足チャネルの上方ブレイクは、11万ドルから11万1750ドルへの上昇モメンタムを示唆。11万1750ドルの突破が過去最高値更新への道を開く。
• サポートゾーンの堅牢性：10万ドルゾーンは機関投資家の買い支えにより強固。9万5000ドルから9万6000ドルへの下落リスクは限定的だが、注視が必要。
• マクロ環境の影響：通商政策や地政学的リスクが短期的な変動要因となる。今後の政策動向が市場センチメントの転換点となり得る。

Mika Kuramoto

CryptoDnesで専属ライターとして暗号資産領域の記事を執筆中。2020年に仮想通貨投資を開始し、ビットコインやNFT、DeFiなど多様な分野での投資経験を積む。2025年1月にCryptoDnesのチームに加わる。