リップル(XRP)価格は28日、市場全体が低迷する中、前日比4.6%上昇し、2.28ドルを記録した。
この価格変動の主因は、米国証券取引委員会(SEC)が米資産運用企業ProSharesによるXRP先物ETFの開始を4月30日に承認したことにある。
ProSharesは、1月17日にXRP関連の3つのETF(Ultra XRP ETF、Short XRP ETF、Ultra Short XRP ETF)を提案していた。
この提案は、暗号資産(仮想通貨)に友好的なドナルド・トランプ米大統領の当選を背景に、市場の期待感を反映したものだ。
承認された先物ETFは、XRPインデックスに基づく価格変動を追跡し、投資家がXRPトークンを直接購入せずに価格へのエクスポージャーを得る手段を提供する。
先物ETFの導入は、規制された投資商品を通じてXRPへのアクセスを拡大し、機関投資家の参入を促進する可能性がある。
ロイターの報道によれば、ソラナ(SOL)やXRPのETF商品導入後、両通貨に対する機関投資家の関心が顕著に高まった。
XRPの取引高は過去24時間で53.58%増の39.2億ドルに急増し、市場の熱気を裏付けている。
XRPの価格動向には、XRP発行元であるリップル社とSECの長年にわたる法廷闘争の終結も影響している。
2020年に始まった未登録証券の販売を巡る民事訴訟は、2025年3月に和解に至った。
この際、XRP価格は10%急騰し、2.5ドル付近を記録。
同社のブラッド・ガーハウスCEOは、Xの投稿でこの和解を「圧倒的な勝利」と評し、規制上の不確実性の解消を強調した。
和解後の市場の信頼回復が、今回のETF承認による価格上昇をさらに後押ししたとみられる。
ProSharesのXRP先物ETFは、4月30日に取引開始予定であり、フィデリティ(Fidelity)やロビンフッド(Robinhood)などの主要ブローカーで購入可能となる。
さらに、CME Groupが5月19日にXRP先物契約の開始を予定しており、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)以外のトークンへの関心の高まりを反映している。
一方で、ProSharesが申請中のXRP現物ETFの承認は未定であり、ブラジルで承認されたHashdexの現物ETFに続き、米国での動向が注目される。
XRP市場は、規制の進展と新たな投資商品の登場により、さらなる成長の契機を迎えている。
機関投資家の参入拡大と市場流動性の向上が予想される中、価格の持続的な上昇には、グローバルな規制環境やマクロ経済要因の影響も注視する必要がある。
出典:TradingView XRP/USD 週足 (2024年~現在まで)
週足チャートを俯瞰すると、2024年8月に20週移動平均線が100週移動平均線を上抜けるゴールデンクロスが発生した。
このテクニカルシグナルは中長期的な上昇トレンドの開始を明確に示し、2024年11月から12月にかけての急騰を予兆するものだった。
実際、XRP価格はビットコインの強気相場と共鳴しながら約5.5倍に跳ね上がり、市場の楽観ムードを反映した。
しかし、現在の100週移動平均線からの乖離は顕著に拡大している。
この乖離は市場の過熱感を示唆し、歴史的なパターンに照らせば中期的調整局面への移行リスクを孕む。
例えば、過去の同様の乖離局面では、価格が20週移動平均線付近まで調整する傾向が見られた。
現在、20週移動平均線は1.8ドル前後に位置しており、調整が発生した場合の目安となる。
一方で、週足のモメンタムは依然として強く、2.4ドルを超える明確なブレイクアウトが生じれば、上昇トレンドの継続が視野に入る。
出典:TradingView XRP/USD 日足 (2024年~現在まで)
日足チャートに視点を移すと、2024年3月上旬に20日移動平均線が100日移動平均線を下抜けるデッドクロスが発生し、短期的な下降トレンドが形成された。
この下圧力は1.9ドル台のサポートゾーンを割り込み、一時的に1.61ドルまで価格を押し下げた。
直近では反発が見られ、4月28日時点で2.2ドル台で推移しているが、市場の不確実性は払拭されていない。
現在の価格は20日移動平均線(2.1ドル付近)を上回る位置を維持しているが、2.03ドルのサポートを日足の実体で明確に下抜ける場合、売り圧力が加速し、1.6ドル付近の安値への再調整が現実味を帯びる。
このシナリオでは、1.8ドル付近の20週移動平均線が次のサポートとして機能する可能性が高い。
一方で、上方向には2.4ドルのレジスタンスゾーンが控えており、出来高を伴ったブレイクアウトが生じない限り、短期的な上値は限定的とみられる。
直近の取引高増加(4月28日で53.58%増)は買い意欲の回復を示すが、持続性が鍵となる。