リップル(XRP)の価格は6日、前週から6.7%安を記録し、2.12ドル付近を推移している。
この下落は、暗号資産(仮想通貨)に対する政治的発言と規制当局の動向が市場心理に影響を与えた結果であると推測される。
エリザベス・ウォーレン米上院議員が、ステーブルコイン法案の採決を前に仮想通貨への批判を強めたことが、XRPの売り圧力を高めた。
ウォーレン議員は、トランプ家に関連するステーブルコインがアラブ首長国連邦との不透明な取引により急成長していると非難。
「このような腐敗を助長する仮想通貨法案を上院が可決すべきでない」と主張した。
この発言は、市場全体のセンチメントを冷やし、特に規制に敏感なXRPに影響を及ぼした。
リップル社の最高法務責任者は、ウォーレン議員の姿勢を「消費者保護を目的とした超党派のステーブルコイン立法を阻害する政治的攻撃」と批判。
こうした政治的対立は、仮想通貨投資家の不確実性を増大させ、XRPの価格下落を助長した。
XRPの価格は、米証券取引委員会(SEC)のリップル訴訟に関する動向にも大きく左右されている。
先日開催されたSECの非公開会議では、リップルに対する上訴の取り下げに関する投票が行われた可能性がある。
SECとリップルは4月に上訴の一時停止を共同で申請しており、和解の可能性が浮上している。
投資家は、トーレス判事の「XRPのプログラム的販売」に関する判決に対するSECの上訴撤回が、XRP現物ETF市場の形成に繋がると期待している。
しかし、会議の結果が不透明であるため、投資家の慎重な姿勢が強まり、XRPは広範な仮想通貨市場の上昇に対し下回ったパフォーマンスを示した。
5日、ビットコイン(BTC)は前日比0.41%上昇し、9万4774ドルで取引を終えた。
米国のISMサービス業PMIが予想を上回る51.6に上昇し、価格指数が65.1に急騰したことで、連邦準備制度の利下げ期待が後退。
リスク資産への圧力が高まったが、マイクロストラテジーによる1895BTCの追加購入やBTC現物ETFへの流入がBTCの底堅さを支えた。
一方、XRPはこうしたポジティブな市場動向の恩恵を受けず、規制リスクに焦点が当たった。
トランプ大統領が「仮想通貨は重要であり、米国が主導しなければ中国が取る」と述べ、ビットコイン法などの親仮想通貨立法への支持を表明したものの、XRPへの直接的な影響は限定的だった。
出典:TradingView XRP/USD 週足 (2024年~現在まで)
週足チャートを俯瞰すると、2023年9月に20週移動平均線が100週移動平均線を上抜けるゴールデンクロスが発生。
このテクニカルシグナルは中長期的な上昇トレンドの開始を明確に示し、2024年の急騰を予兆するものであった。
実際、XRPはビットコインの強気相場と共鳴し、2024年11月~12月にかけて価格は約5.5倍に跳ね上がった。
この上昇は市場の楽観ムードを反映し、仮想通貨全体のブル相場を背景に推進された。
しかし、現在の価格は100週移動平均線からの乖離が顕著に拡大している。
この乖離は市場の過熱感を示唆し、歴史的なパターンに基づけば中期的調整局面への移行リスクを孕む。
現時点で20週移動平均線水準の2.4ドルを超える明確なブレイクアウトが生じていないため、上昇トレンドの継続には新たな買い圧力と出来高の増加が必要である。
一方で、2.4ドル水準を明確に上抜ければ、3.00ドルや過去最高値3.4ドルへの再挑戦が視野に入る。
出典:TradingView XRP/USD 日足 (2024年~現在まで)
日足チャートに視点を移すと、2024年3月上旬に20日移動平均線が100日移動平均線を下抜けるデッドクロスが発生し、短期的な下降トレンドが形成された。
この下圧力は1.9ドル台のサポートゾーンを割り込み、一時的に1.61ドルまで価格を押し下げた。
直近では反発が見られ、5月6日時点で2.1ドル台で推移しているが、市場の不確実性は依然として残る。
現在の価格は20日移動平均線(2.1ドル付近)を割り込んでおり、2.03ドルのサポートラインが短期的な試金石となる。
この水準を日足の実体で明確に下抜ける場合、売り圧力が加速し、1.6ドル付近の安値への再調整が現実味を帯びる。
一方、上方向には100日移動平均線と20週移動平均線が重なる2.3~2.4ドルのレジスタンスゾーンが控える。
このゾーンを出来高を伴って突破しない限り、短期的な上値は限定的とみられる。
現時点での相対力指数(RSI)は中立圏にあり、過熱感や過度な売られ過ぎのシグナルは見られないが、出来高の低迷が上値の重さを示唆する。