レイヤー1ブロックチェーン「スイ(SUI)」のネイティブトークンであるSUIの価格は29日、週間比で60%を越える上昇を見せ、3.55ドルで取引されている。
この急騰は、SUIブロックチェーン上の分散型取引所(DEX)の取引高が過去1週間(4月20日~26日)で36億4900万ドルを記録し、史上最高を更新したことに起因する。
オンチェーン分析サイトDeFiLlamaのデータによると、この記録的な取引高はSUIエコシステムの急成長を反映し、市場参加者の強い関心を示している。
SUIのDEXにおける取引高の急増は、複数の要因によって支えられている。
主要DEXであるCetusが全体の42.8%を占め、圧倒的なシェアを誇る。一方、Momentumは4月27日に1日で9159万ドルの取引高を記録し、Bluefinを抜いて2位に浮上した。
Momentumの成長は、低手数料、魅力的な流動性インセンティブ、SUIベースの主要プロジェクトとの統合によるものだ。
この競争環境は、SUIエコシステムの流動性とユーザー基盤の拡大を加速させている。
SUIネットワーク上のステーブルコインの総額は、過去2カ月で80%以上増加し、4億8200万ドルから8億7900万ドルに急拡大した。
さらに、オンチェーン分析プラットフォームLookochainのデータによれば、SUIの総ロック価値(TVL)は38%増加。
これらの指標は、SUIのDeFiエコシステムに対する投資家の信頼と関与の深化を示している。
SUIの価格動向は、広範な市場の回復基調とも連動している。
ビットコイン(BTC)が9.4万ドル台で取引され、週次、日次ともに上昇を記録する中、10万ドルへの挑戦が視野に入っている。
この強気な市場環境は、アルトコイン全体の上昇を後押ししており、SUIもその恩恵を受けている。
SUI市場参加者の間では、5ドルの心理的抵抗線を突破すれば、10ドルへの道が開けるとの楽観論が広がる。
これは現在の価格から約165%の上昇を意味する。仮想通貨投資家のCrypto GEMS氏は、SUIが数カ月内に10ドルに到達することは「不可避」と予測する。
しかし、SUIの価格動向は広範な市場センチメントに大きく影響される。
ビットコインが9.5万ドルを維持できない場合、アルトコイン市場全体の勢いが鈍化する可能性がある。
また、急激な取引高の増加は短期的な価格変動リスクを孕む。
投資家は、Suiエコシステムのファンダメンタルズ強化と市場全体の動向を注視する必要がある。
SuiのDeFiエコシステムは、記録的な取引高、TVLの急増、ステーブルコインの成長により、レイヤー1プラットフォームとしての地位を確固たるものにしている。
この活況が持続すれば、SUIの価格はさらなる上値余地を模索するだろう。
出典:TradingView SUI/USD 週足 (2024年~現在まで)
週足チャートでは、2024年9月に20週移動平均線(現在約3.3ドル)を上抜けたブレイクが上昇トレンドの起点となった。
米大統領選といった外部要因が追い風となり、11月には5.3ドルまで急伸したが、12月以降の強い売り圧力により年明けには上昇幅の半値以下に急落。
4月まで低迷が続いたものの、直近の反発で価格は3.8ドル付近まで回復し、20週移動平均線を再び上回った。
現在の週足は、中期的な下落トレンドからの転換を示唆する。
20週移動平均線を維持できれば、4ドル台への回復が視野に入る。
特に、3.8ドル付近での底固めが成功すれば、5ドル付近の心理的抵抗線への挑戦も可能だ。
ただし、20週移動平均線を下抜ける場合、2024年12月の安値圏である2.2~2.3ドルへの再下落リスクが浮上する。
出来高は反発局面で増加傾向にあり、買い圧力の回復を示すが、上昇継続にはさらなる出来高の裏付けが必要だ。
出典:TradingView SUI/USD 日足 (2024年~現在まで)
日足チャートでは、2025年2月初旬に20日移動平均線が100日移動平均線を下抜けるデッドクロスが発生し、短期的な下降トレンドが形成された。
しかし、4月の安値1.7ドルからの急反発により、100日移動平均線をブレイク。短期的なトレンド転換の兆しが現れている。
直近では3.6ドル付近の抵抗線に押し戻され、上昇が一服しているが、価格は100日移動平均線を上回る水準を維持している。
3.6ドルの抵抗線を日足の実体で明確に上抜ければ、4ドルに向けた上昇余地が広がる。
この場合、4.2~4.3ドル付近の次の抵抗線がターゲットとなる。
一方、3.6ドルを突破できない場合、100日移動平均線(約3.0ドル)を試す下落が生じ、さらなる調整局面では2.2~2.3ドルへの押し戻しが想定される。