分散型取引所(DEX)であるハイパーリキッド(Hyperliquid)のネイティブトークンHYPEは1日、およそ2か月ぶりに20ドル水準を回復した。
数週間にわたる横ばい推移から一転、価格は明確な上昇トレンドの始まりを示唆している。
背景には、ハイパーリキッドが最近発表した一連のアップデートが投資家の関心を再燃させたことが挙げられる。
4月21日、HyperliquidはWeb3決済ゲートウェイであるCypherとの統合を発表。
ユーザーはHYPE現物を活用し、世界1億以上の加盟店で支払いが可能となった。
Cypherのカードは150カ国以上で利用でき、Apple PayやGoogle Payにも対応。
さらに、テストネット向けのラップドステーブルコイン「WHLUSDC」の導入も行われた。
これらの機能は、トークンの実用性を大幅に高めるものであり、市場参加者の信頼回復に寄与したと見られる。
加えて、5月5日に予定されている新たな手数料および仮想通貨ステーキングシステムの導入も注目を集めている。
HyperliquidのネイティブトークンHYPEをステーキングするユーザーは、5%から40%の手数料割引を受けられる新たな仕組みが導入される。
現物取引とパーペチュアル(永久先物)取引のボリュームを合算して計算し、現物ボリュームは2倍の重み付けで評価される。
また、ステーキングとトレーディングアカウントをリンクする機能により、トレーダーの柔軟性が向上。
これらの発表を受け、オープンインタレストが12%増加し、市場の前向きなムードが確認された。
一方で、HYPEの総預け入れ価値(TVL)は2月のピーク時7000万ドルから大幅に低下し、4月時点で2億8900万ドルにとどまる。
オンチェーン分析プラットフォームDefiLlamaのデータによれば、この減少はユーザー信頼の低下や資本のローテーションを示している可能性がある。
ステーブルコインの流入鈍化も、市場の慎重なムードを反映している。
今後は5月5日の新システム導入後、仮想通貨投資家の反応が価格動向を左右する重要な要因となるだろう。
出典:TradingView HYPE/USDT 週足 (2024年~現在まで)
HyperliquidのネイティブトークンHYPEは、2024年11月の1ドル台での上場後、ビットコインETF承認や米国大統領選挙といった市場全体の好材料を背景に、12月に40ドル台の高値を記録した。
しかし、その後の調整局面で価格は急落し、3月中旬には上場直後の上昇幅をほぼ解消。
現在、20ドル付近で推移するHYPEは、重要なテクニカル水準での攻防を迎えている。
週足チャートでは、HYPE価格が20週移動平均線(現在20ドル直下)に接近し、重要なレジスタンスゾーンでの推移が続いている。
2024年12月の40ドル台から急落後、価格は一時15ドル付近まで下落し、上場後の上昇幅の大部分を失った。
しかし、4月下旬以降、価格は20週移動平均線を試す形で反発。
直近の週足では、20ドルを僅かに下回る水準で引けており、レジスタンス突破の可能性が浮上している。
ボリュームは依然として低水準だが、安定した買い支えが見られ、短期的な底打ちを示唆する。
20週移動平均線を明確に上抜ければ、23ドルから25ドルゾーンへの上昇が視野に入る。
一方、20ドルでの反落が続けば、17ドル付近への再調整が想定される。
出典:TradingView HYPE/USDT 日足 (2024年~現在まで)
日足チャートでは、HYPEが過去1カ月半にわたり100日移動平均線(現在18.5ドル付近)を下回る推移を続け、短期的な下降トレンドが鮮明であった。
しかし、4月30日の上昇で100日移動平均線を明確に突破。
この動きは、下降トレンドの終焉と新たな強気モメンタムの兆しを示している。
出来高は上昇に伴い増加傾向にあり、市場参加者の関心回復が確認される。
ただし、20ドル水準での抵抗は依然として強く、持続的なブレイクアウトにはさらなる買い圧力が必要となる。