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イーサリアム、年初から47%安|L2主導ロードマップ等が影響

5月 3, 2025 8:27 1 分で読了
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イーサリアム、年初から47%安|L2主導ロードマップ等が影響

イーサリアム(ETH)の価格は3日、年初から約47%下落し、1800ドル台まで後退した

ソラナ(SOL)やビットコイン(BTC)のパフォーマンスを大幅に下回っている。

2024年の47%上昇から一転、2025年の市場暴落に伴い、ETHの市場支配率は19%から7%に急落。

ETH/BTC比率は史上最低水準に沈み、SOL/ETH比率は過去最高を記録した。

この価格低迷の背景には、レイヤー2(L2)中心のロードマップ、ETF流入の格差、機関投資家のビットコイン偏重戦略、度重なるハッキング被害が絡み合う。

L2中心のロードマップによる価値吸収の停滞

2024年3月のデンクン(Dencun)アップグレードは、スループットの向上と手数料削減を実現した。

しかし、これによりイーサリアムの収益とバーン率が低下。2024年4月以降、ETHの供給量は73万ETH以上増加し、再びインフレに転じた。

需要の低迷と供給増加は、価格への強い下圧力となっている。

ソラナのミームコインブームによる需要急増

ソラナは2024年1月のトークンローンチパッドPump.funの登場以来、ミームコイン取引の急増により収益と需要が急拡大。

1700万以上の新規アドレスがソラナに参加し、960万以上のトークンが発行されたとされる。

主要プロトコルの取引量増加と相まって、ソラナの収益と価格はイーサリアムを大きく上回った。

この対比は、ETHの相対的な魅力低下を浮き彫りにする。

ビットコインETF流入と機関投資家の偏重

米国ビットコイン現物ETFは、2024年以降、395.6億ドルの記録的な純流入を記録し、BTC価格を130%押し上げた。

一方、イーサリアムETFの累計流入額は24.9億ドルにとどまり、価格への影響は限定的である。

さらに、2024年のイーサリアムETF流入の一部は、ヘッジファンドによる高利回りの資金調達手数料を活用したETHベーシストレードに使用された。

2025年第1四半期の市場暴落後、これらのショートポジションの巻き戻しがイーサリアムの急落を加速させた。

ビットコインとソラナの企業保有戦略

マイケル・セイラー率いるストラテジー社は、55万3555 BTC(総供給の約2%、平均購入価格379億ドル)を保有し、840億ドルの株式・債券発行でさらなる拡大を計画

メタプラネットやテスラなど他の企業もビットコインを財務戦略に採用し、BTC価格を支えている。

ソラナでも、DeFi Development FundやSolana Strategiesがソラナ保有を拡大している。

一方で、イーサリアムを保有する上場企業はごくわずかで、長期保有の意向も見られない。

ハッキングによるETHの標的化

2024年以降、イーサリアムはハッキングの主要標的となり、盗まれた暗号資産(仮想通貨)の50%以上を占める。

特に2月のBybitハックでは、14億ドル相当のETHが盗まれ、市場で売却されたことが価格急落の一因となった。

イーサリアムチェーン上のアプリケーションも他のチェーンに比べハッキング被害が多く、ETH価格への悪影響が顕著である。

反転の可能性|リーダーシップ再編とペクトラアップグレード

イーサリアム財団(EF)は、コミュニティの批判と価格低迷を受け、新たなリーダーシップ体制を構築し、スケーラビリティとユーザー体験の強化を再表明。

5月7日に予定されるペクトラ(Pectra)アップグレードは、スケーラビリティ、プライバシー、ユーザー体験を向上させる新機能を導入する。

さらに、ヴィヴェク・ラマン氏とダニー・ライアン氏によるEthrealizeプロジェクトは、ウォール街でのイーサリアムマーケティングと機関向け製品開発を推進し、機関投資家の認知向上を目指す。

直近2週間の仮想通貨市場の回復に伴い、ETH/BTC比率は底打ちの兆候を示し、SOL/ETH比率もピークの可能性を示唆。

ペクトラアップグレードと機関投資家の関心回復が反転の契機となる可能性がある。

今後の展望

イーサリアムの2025年の価格低迷は、L2中心のロードマップによる価値吸収の停滞、ソラナのミームコインブーム、ビットコインETF流入の格差、企業保有戦略の不在、ハッキング被害の集中による複合的な要因に起因する。

しかし、財団のリーダーシップ再編、ペクトラアップグレード、機関向けマーケティングの進展は、価格回復の可能性を示唆する。

市場は引き続き、5月7日のアップグレードと機関投資家の動向に注目する必要がある。

【5月3日最新】イーサリアム(ETH)価格のテクニカル分析

ETH週足チャート

出典:TradingView ETH/USD 週足 (2024年~現在まで)

2024年の強気相場を経て、イーサリアム(ETH)は明確な調整局面に突入している。

2023年11月のゴールデンクロスを起点に、ビットコインETF承認や米国大統領選といった外部要因が価格を2,000ドルから4,100ドルへと急騰させた。

しかし、2024年12月のピーク以降、モメンタムは失速。足元では一時1,400ドルまで下落。

現在1,800ドル台で推移するものの、テクニカル指標は弱気シグナルを強めている。

週足チャートでは、2023年以降の強気トレンドを支えてきた100週移動平均線が主要なサポートとして機能してきた。

この水準は複数回にわたり価格の下落を食い止め、ブルトレンドの基盤を形成。

しかし、2025年3月の下落でこの移動平均線を明確に下抜け、終値ベースでのサポート失効が確認された。

これは、2023年以降の強気トレンドの終焉を示唆する強い弱気シグナルである。

出来高分析でも、100週移動平均線下抜け時に売り圧を伴うボリュームの急増が観測され、弱気派の支配力が強まっている。

さらに、週足では20週移動平均線が100週移動平均線を下抜けるデッドクロスが形成された。

このテクニカルイベントは、中長期的な下落トレンドへの移行を裏付ける。

現在、価格は1,800ドル台で推移するが、100週移動平均線(約2,580ドル付近)を回復しない限り、上昇モメンタムの再燃は期待しにくい。

逆に、下方では1,400ドル付近のサポートが次の焦点となるが、さらなる下落リスクも否定できない。

ETH日足チャート

出典:TradingView ETH/USD 日足 (2024年~現在まで)

日足チャートでは、2025年1月下旬に20日移動平均線が100日移動平均線を下抜けるデッドクロスが形成され、売り圧が加速。

このイベント直後、価格は1,400ドルまで急落したが、同水準で強い反発を見せ、現在1,800ドル台まで回復している。

しかし、4月高値の1,956ドルを明確に上抜けない限り、短期的な下落基調の転換は確認できない。

もし1,800ドルを維持できない場合、1,600ドルや1,400ドルといった下位サポートへの再下落が想定される。

相対力指数(RSI)は現在45付近で推移し、過度な売られ過ぎ感はないものの、上昇モメンタムの欠如を示唆。

ボリュームも反発局面で顕著な増加が見られず、買い手の積極性が限定的である点が懸念材料である。

イーサリアム(ETH)相場の要点

  • 中長期トレンドの弱気転換:週足での100週移動平均線失効とデッドクロスの発生は、2023年以降の強気トレンドの終焉を示唆。1,400ドル付近のサポート維持が下落阻止の鍵となる。
  • 短期的な抵抗ゾーン:日足では1,850~1,900ドルが上値抵抗。1,956ドルを上抜けない限り、下落基調の転換は困難。
  • 下落リスクの継続:ボリュームとRSIの動向から、買い手のモメンタムが不足。1,800ドルを下抜けると、1,600ドルや1,400ドルへの再下落が現実的。
  • 上値回復の条件:100週移動平均線(2,580ドル付近)の回復が、強気トレンド再開の必要条件。外部要因(例:Pectraアップグレードや機関投資家の動向)が触媒となり得る。
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