ビットコイン(BTC)の価格は16日、前日夜の高値8万6440ドルから3.5%下落し、一時8万3116ドルまで値を下げた。
この価格変動は、半導体大手エヌビディアの株価急落と米中貿易摩擦の激化に起因する。
エヌビディアは、アフターアワーズ取引で株価が8%下落。
トランプ政権による中国向けH20チップの輸出禁止の影響で、55億ドルの評価損を計上すると発表した。
このニュースは、AI関連銘柄とみなされる暗号資産(仮想通貨)市場にも波及し、リスクオフムードを加速させた。
ハイテク株中心のナスダック指数先物も1%以上下落した。
アルトコイン市場では、AIに関連するとされるカルダノ(ADA)が4%安の0.61ドル、リップル(XRP)が2%超下落の2.08ドルを記録するなど、広範な売りが観測された。
ビットコインは比較的底堅く推移したが、8万4000ドルを下回る水準で軟調な動きを見せた。
トランプ大統領は4月2日、180カ国に対する包括的関税を発表し、中国を除く国々に90日間の猶予を与えたことで、市場に一時的な安心感が広がった。
しかし、中国向け関税の継続と、EUとの「ゼロ・フォア・ゼロ」協定交渉の決裂が報じられ、貿易戦争の長期化への懸念が再燃。
ブルームバーグによると、EUは米国との交渉が進展せず、25%の輸出関税が維持される見通しを示した。
この不透明感が、ビットコインを含むリスク資産の価格を圧迫した。
ビットコインの価格は、米中貿易摩擦の進展、米経済指標、FRBの金融政策に大きく影響される。
エヌビディアの株価下落が示すように、ハイテクセクターと仮想通貨市場の連動性は依然として高い。
AI関連銘柄への投資家センチメントが、ビットコインの短期的な値動きに影響を与えるだろう。
仮想通貨市場は外部環境に敏感であり、仮想通貨投資家は貿易政策やマクロ経済指標の動向を注視する必要がある。
出典:TradingView BTC/USD 週足 (2024年~現在まで)
ビットコインの週足チャートは、2023年10月の移動平均線ゴールデンクロス以降、長期的な上昇トレンドの確立を示唆していた。
このテクニカルシグナルは、数年スパンでの価格上昇を裏付ける強力な要因と市場で認識され、ETF承認の追い風も相まって10.9万ドル(2025年1月)の高値を記録した。
しかし、現在は8.3万ドル台まで24%下落し、明確な調整局面に突入している。
週足では20週移動平均線を大きく下回り、100週移動平均線との乖離縮小が進行中である。
この乖離縮小は、過熱感の解消を意味するが、下落の勢いは依然として強く、明確なサポートゾーンが見当たらない。
仮に現在の下落トレンドが継続する場合、6万ドル台への急落が現実的なシナリオとして浮上する。
特に、週足でのトレンド転換を示す新たなシグナル(ゴールデンクロスや強力なサポートでの反発)が確認されない限り、弱気相場の深化が予想される。
出典:TradingView BTC/USD 日足 (2024年~現在まで)
日足チャートでは、2025年2月に20日移動平均線と100日移動平均線のデッドクロスが発生し、短期的な下落圧力の強まりを示す明確なシグナルが点灯した。
このデッドクロスは、弱気相場の優勢を裏付け、3月中旬以降、ビットコインは7.4万ドル~8.8万ドルのレンジ内で推移している。
現在の価格である8.3万ドル台は、このレンジのやや上部に位置するが、売り圧力が依然として優勢である。
上昇転換には、直近高値8.87万ドルのブレイクが不可欠である。
一方、7.4万ドルを日足実体で下抜ける場合、売り圧力が加速し、次のサポートゾーンである6万ドル台への下落リスクが高まる。
4月初旬に7.4万ドル付近で短期的な反発が見られたものの、安値更新が続いており、上昇転換の兆候は乏しい。
短期的な値動きは、7.4万ドル付近での攻防に集約されると考えられる。