ビットコイン(BTC)価格は22日、8.75万ドルで取引を開始後、6.7%の急騰を記録し、9.34万ドルで引けた。この水準は3月3日以来、50日ぶりの9万ドル台回復となる。
米国トランプ大統領およびスコット・ベセント財務長官の発言が市場を大きく動かした。
ベセント長官は、現在の145%に及ぶ対中関税を「持続不可能」と形容し、貿易戦争の緊張緩和を示唆した。
この発言は、株式市場だけでなく、リスクオンの代表格である暗号資産(仮想通貨)にも波及。
仮想通貨投資家の信頼感が回復し、ビットコインをはじめとする仮想通貨への資金流入を促した。
機関投資家の動向も今回の上昇を後押ししている。
4月20日、ビットコイン現物ETFには3億8100万ドルの純流入が記録され、1月以来の最高水準に達した。
こうした機関マネーの回帰は、市場に強気なシグナルを送る。
さらに、米ストラテジー社が新たに6500BTCを取得し、長期的なビットコイン保有戦略を強化。
これにより、大口投資家の信頼が市場心理を一層押し上げた。
規制面では、新たに就任したポール・アトキンスSEC委員長が仮想通貨関連の複数の執行訴訟を却下。
業界にイノベーションを促す規制環境への期待が高まっている。
この動きは、市場全体のセンチメントを改善させ、ビットコインだけでなくアルトコインにも波及。
イーサリアム(ETH)は23日に1800ドルを突破、直近24時間でドージコイン(DOGE)は12.8%上昇、SUIは30%近く上昇するなど、幅広い仮想通貨で価格上昇が観測された。
しかし、オンチェーン分析プラットフォームCryptoQuantの分析によれば、現在の市場流動性や新規需要は過去の強気相場に比べ依然として弱い。
テクニカル的には、抵抗ゾーンでの反落リスクも指摘されており、投資家は過度な楽観に警鐘を鳴らす。
とはいえ、今回の価格急騰は、市場のモメンタムを再び点火させる契機となった。
ビットコイン価格の動向は、引き続きマクロ経済環境や規制の進展に左右されるだろう。
短期的には、米国の経済政策や機関投資の動向が市場の方向性を決定する鍵となる。
出典:TradingView BTC/USD 週足 (2024年~現在まで)
週足チャートでは、2023年10月の移動平均線ゴールデンクロス以降、ビットコインは長期的な上昇トレンドを維持してきた。
このシグナルは市場の強気心理を裏付け、2024年のビットコインETF承認を追い風に、2025年1月には10.9万ドルの高値を記録。
しかし、4月中旬にかけての大幅な下落により、20週移動平均線を大きく下回り、100週移動平均線との乖離が縮小していた。
直近の上昇で、ビットコインは20週移動平均線を回復。
現在の価格水準が3月の高値8.8万ドルおよび20週移動平均線を上回ったまま週足が引ければ、テクニカル的には一時的な下落トレンドの終了が示唆される。
出典:TradingView BTC/USD 週足 (2024年~現在まで)
日足チャートでは、2025年2月下旬に20日および100日移動平均線のデッドクロスが発生し、短期的な弱気圧力が明確に示されていた。
3月中旬以降、ビットコインは7.4万ドルから8.8万ドルのレンジ内で推移し、方向感を欠いていた。
しかし、4月22日の6.7%の上昇により、このレンジを明確に上抜け、同時に100日移動平均線を突破。
短期的な下降トレンド終了の可能性が浮上している。
ただし、9.5万ドル付近には過去の抵抗ゾーンが存在し、出来高が伴わない場合、短期的な反落リスクが残る。
ビットコインの価格動向は、テクニカルシグナルの改善と市場センチメントの回復により、上昇バイアスが強まっている。
ただし、抵抗ゾーンでの攻防や外部要因を注視し、慎重なポジション管理が求められる。