バイナンスコイン(BNB)の価格は17日、主要な抵抗帯となっていた590ドルを一時的に突破し、前日比2.95%の上昇を見せた。
この価格上昇は、米国を拠点とする暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケンへの上場発表と、BNBチェーンのDeFi(分散型金融)エコシステムにおける需要拡大が主な要因と推測される。
BNBチェーンの運営チームは17日、公式Xアカウントを通じてクラーケンでのBNB入金開始を発表。
取引は4月22日14:00(UTC)より、BNB/EUR、BNB/USD、BNB/USDC、BNB/USDTの4つの取引ペアで開始される予定である。
この上場は、BNBの市場流動性を高め、特に米国の仮想通貨投資家へのアクセスを拡大する重要な一歩となる。
従来、大手仮想通貨取引所バイナンスでの基軸トークンとしての役割が主であったBNBだが、主要取引所での取り扱い増加により、グローバルな資産としての地位を確立しつつある。
バイナンス元CEOのチャンポン・ジャオ(CZ)氏はこの動きに対し、「BNBはミームコイン」とX上でコメントし、その国際的な広がりを強調した。
BNBチェーンの総預け入れ資産(TVL)は、DeFiプロトコルへの需要増を背景に、4月9日の49億ドルから4月17日時点で55億ドルへと6000万ドル増加した。
この上昇は、トランプ政権がDeFiプロトコルに対する厳格なKYC(本人確認)要件を撤廃した政策の影響が大きい。
これにより、利回りを求める投資家の資金がBNBチェーンに流入し、ステーキングやオンチェーントランザクションの需要を押し上げた。
クラーケン上場によるアクセシビリティ向上は、このトレンドをさらに加速させる可能性が高い。
トランプ氏は17日、FRB議長ジェローム・パウエル氏に対し、欧州中央銀行(ECB)の7度目の利下げに追随する形で利下げを求める発言を行った。
直近の米国CPIインフレデータや予想を下回る失業保険申請件数も、投資家が実質利回りを求めて仮想通貨などの資産に資金をシフトさせる動機となっている。
こうしたマクロ経済の追い風も、BNB価格の強気な値動きを後押ししている。
クラーケン上場による市場アクセスの拡大とDeFiエコシステムの成長は、BNBの長期的なファンダメンタルズに対する投資家信頼を高めている。
BNBの価格動向は、引き続きDeFi需要と取引所間での採用進展に大きく左右されるだろう。
出典:TradingView BNB/USD 週足 (2024年~現在まで)
週足チャートでは、2024年2月のゴールデンクロスが強気トレンドの起点となった。
この局面では、20週移動平均線が100週移動平均線を上抜け、価格は300ドルから一気に600ドル台へと上昇。
2024年11月以降の強気市場を背景に、バイナンスコイン(BNB)は顕著な価格上昇を遂げた。
2024年12月の790ドル到達は、強気市場のピークを示し、その後の下落は100週移動平均線(現在約480ドル付近)との乖離を縮める調整局面を形成している。
2025年1月以降、510ドル付近での反発が3度確認されたが、高値は切り下がり、上昇モメンタムの減衰を示唆する。
現在の価格は510ドルを上回る水準で推移するが、645ドル付近の抵抗線を突破しない限り、明確な上昇再開は困難である。
一方、510ドルを下回る場合、週足の主要サポートである450ドル(200週移動平均線に近接)までの下落リスクが高まる。
出典:TradingView BNB/USD 日足 (2024年~現在まで)
日足チャートでは、2024年2月以降の強気トレンドが一時的に弱気局面に転換。
2024年12月のピーク後、20日移動平均線が100日移動平均線を下抜けるデッドクロスが形成され、下落圧力が強まった。
この間、510ドル付近で3度の反発が確認されたが、上値は645ドルの抵抗線に抑えられ、明確なブレイクアウトには至っていない。
直近の価格動向では、4月17日に590ドルを突破し、短期的な強気シグナルが点灯したが、600ドル超での終値維持が上値拡大の鍵となる。
510ドルを下回る場合、週足サポートの450ドルに加え日足ベースでの次のサポートである480ドルが意識される。
逆に、645ドルを突破すれば、730ドル付近までの上昇余地が広がる。