エミレーツ航空はCrypto.comと提携し、年内にビットコインなど仮想通貨での決済を導入する。顧客需要に応え、ドバイの金融革新を推進する。
大手航空会社のエミレーツ航空は、決済サービス大手のCrypto.comとの提携を通じ、年内に暗号資産(仮想通貨)による決済を導入する計画を明らかにした。
この提携により、エミレーツ航空の顧客は航空券や手荷物許容量の追加、座席指定といった各種サービスの支払いに、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの主要な仮想通貨を利用できるようになる。決済処理はCrypto.comが提供する決済ゲートウェイCrypto.com Payを介して行われる。
顧客が仮想通貨で支払いを完了すると、その金額は取引時点でアラブ首長国連邦(UAE)の法定通貨であるディルハムに即時換算される。
この仕組みは、価格変動の激しい仮想通貨を直接保有することに伴うリスクをエミレーツ航空側が回避しつつ、顧客に新たな決済手段を提供する上で重要な役割を果たす。
エミレーツ航空が仮想通貨決済の導入に踏み切った主な理由は、高まる顧客需要への対応だ。
デジタル資産への関心が世界的に広がる中、より柔軟で現代的な決済方法を提供することで、顧客満足度の向上と新たな顧客層の獲得を目指している。
特に、デジタルネイティブ世代や仮想通貨を主要な資産として運用する人々にとって、日常的な支払いに仮想通貨を利用できることは大きな利便性をもたらす。航空業界の競争環境において、こうした先進技術の採用は、ブランドイメージの向上と競争優位性の確保につながる。
この動きはまた、エミレーツ航空の本拠地であるドバイが推進する国家戦略とも深く結びついている。ドバイは、石油依存経済からの脱却を目指し、金融とテクノロジーを融合させた「FinTech」分野の世界的ハブとなることを国家目標に掲げている。
その一環として、仮想通貨やブロックチェーン技術に対して非常に寛容な規制環境を整備し、世界中の関連企業や人材を積極的に誘致している。
政府を挙げてWeb3エコシステムの構築を進めるドバイにとって、国を代表する企業である同社の取り組みは、その先進性を世界に示す絶好の機会となる。
世界有数の規模を誇るエミレーツ航空による仮想通貨決済の採用は、航空業界全体に大きな影響を与える可能性がある。これまでも、一部の航空会社などが限定的に導入した例はあったが、グローバルな大手航空会社による本格的な導入は、業界の新たな潮流となるかもしれない。
サービス開始当初は、時価総額が大きく流動性の高いビットコインや、代表的なアルトコインであるイーサリアムが対象となる見通しだ。
特にイーサリアムは、その汎用性の高さから多くのアプリケーションで利用されている。しかし、市場の成熟と顧客の利用状況に応じて、将来的には他の有力なアルトコインや、革新的な技術を持つ新しい仮想通貨が決済手段として追加される可能性も十分に考えられる。
仮想通貨決済が普及すれば、国境を越えた取引における手数料の削減や、従来の金融システムよりも迅速な決済処理が期待できる。これは、グローバルに事業を展開する航空会社にとって大きなメリットだ。
今回の提携は、仮想通貨が投機的な取引の対象だけでなく、実用的な決済インフラとして社会に浸透していく過程を示す重要な一歩と言えるだろう。
航空業界を皮切りに、他の業界にも同様の動きが広がるか、今後の動向が注目される。
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