ステーブルコイン発行元のテザーは14日、破産したセルシウスの管財人と2億9950万ドルで和解。清算を巡る長年の法廷闘争が終結する。
ステーブルコイン発行大手テザー社と、破産した暗号資産(仮想通貨)レンディング企業セルシウスの資産回収を担うBRICは14日、2億9950万ドルでの和解に合意した。
この合意は、2022年のセルシウス破綻に端を発する長年の訴訟に終止符を打つものだ。
BRICは2024年8月、テザーが破産法に違反したとしてニューヨーク州南部地区連邦破産裁判所に提訴していた。
今回の和解は、仮想通貨の破産史上、最も注目された案件の一つを解決する。
訴訟の争点は、セルシウスが2022年7月に破産を申請する前に、テザーが担保として預かっていた資産を不当に清算したかどうかだった。
セルシウス側は、テザーが担保であった約3万9500BTCを、契約で定められた10時間前の通知なしに売却したと主張していた。
これにより、セルシウスはポジションに残っていたはずの価値を失ったとされる。
一方、テザー社は一貫して不正行為を否定している。
ビットコイン価格が下落する中でセルシウスが追加の担保差し入れ要求に応じなかったため、契約の範囲内で行動したと反論していた。
今回の和解は、ニューヨークの連邦破産裁判所判事が2025年初めにセルシウス側の訴えを認める判断を下したことを受けてのものだ。
テザー社は訴訟プロセスを通じて一貫して不正を否定していたが、最終的に和解に応じた形となった。
この問題の背景には、2022年の仮想通貨価格の暴落がある。
当時、セルシウスは顧客の資産引き出しを凍結し、最終的に経営破綻に至った。
この一件は、Voyager、BlockFi、FTXの破綻と並び、2022年の仮想通貨信用危機を象徴する出来事となっている。
テザー社は、セルシウスがマージンコールに応じなかった際、8億1500万ドルの負債を補填するために、セルシウスの指示でビットコインを清算したと主張していた。
また、セルシウスのアレックス・マシンスキー元CEOが5月に詐欺罪などで禁錮12年の判決を受けたことも、この訴訟の行方に影響を与えた。
今回の和解は、仮想通貨の貸付や担保契約を裁判所がどのように扱うかについて、重要な示唆を与えるものだ。
今後の業界における同様のケースで先例となる。
市場環境やステーブルコインに対する規制の動向も、和解決定の一因となった。
発表によると、和解金である2億9950万ドルは、セルシウス側が当初要求していた43億ドルの約7%にすぎない。
セルシウスの債権者にとって一定の成果ではあるものの、会社の破綻による数十億ドル規模の顧客損失と比較すると、その額は限定的だ。
最大手の仮想通貨レンディング企業の一つだったセルシウスは、2022年半ばにトークン価格の急落と投資の失敗により、仮想通貨史上最大級の破産を引き起こした。
今回の和解を取りまとめたBRICは、破綻した仮想通貨企業からの資産回収を管理するために設立された。
この和解金は、現在進行中のセルシウスの破産手続きにおける資産分配に充てられる見込みだ。
しかし、2022年の破綻で失われた顧客資金の総額から見れば、回収できたのはほんの一部に過ぎないのが実情だ。
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